現役鍼灸師の実体験付き!鍼灸院を開業する際のベストな立地の選び方!

「鍼灸院を開業したいけど、どのような場所を選ぶべきか分からない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?

1度開業してしまったら、なかなか変えられないからこそ、長く、安定的な売上が見込める場所を選びたいところです。

しかし、実際に物件探しをしてみると、「どれを重視して選ぶべきかわからない…」「条件がさまざまで、決めきれない…」といったように、とても難しいものです。

そこでこの記事では、鍼灸院に向いている良い立地の特徴や選び方のポイントを紹介します。

また、診療スタイルごとに向いている場所を解説するため、ぜひ参考にしてください。

目次

今回の記事の監修者

監修者:伊佐治 景悠
SR鍼灸グループ総院長/鍼灸師/博士(鍼灸学)

<主な経歴・資格>
明治国際医療大学 卒業
明治国際医療大学大学院 博士課程 修了
鍼灸師/博士(鍼灸学)
大学病院・クリニックの性機能外来で研修

2018年〜 SR鍼灸烏丸 開院
2019年〜 株式会社はる 不妊治療アドバイザー
2019年〜 東洋医療専門学校 非常勤講師
2021年〜 SR鍼灸茨木 -蔵- 開院
2023年〜 SR鍼灸 -はなれ- 開院
2023年〜 SR鍼灸大阪 開院

<受賞歴>
2016年 International Conference of World Federation of Acupuncture-Moxibustion Societies (WFAS): Best Poster Award

2016年 全日本鍼灸学会 高木賞

鍼灸院の「立地」は重要

「立地7割」と言われるほど、立地選びは売上に直結します。

どれだけテナントや腕前が素晴らしくても、立地が悪ければ集客が困難になります。

立地を正しく選ぶことで、自然と集客力を大きく高めることができます。

来院理由の多くは「アクセスの良さ」

「アクセスの良さ」は、患者さんが鍼灸院を選ぶ決め手の1つとなります。

実際に、医療機関や美容院(サロン)に関するアンケート調査によると、50%以上の人が『自宅や職場からの距離』を選ぶ理由に挙げています。

この結果から、通いやすい立地が来院数に直結することがわかります。

同じく鍼灸院でも、アクセスが良い場所にあることで、多くの患者さんを引き寄せることができます。

鍼灸は定期的な通院が必要なことが多いため、通勤や帰宅途中に立ち寄れる場所であれば、忙しい方でも通いやすく、自然とリピーターが増える要因になります。

参考:1300人に聞いた「行きたい歯医者アンケート」 – シカコン (web-consultants.jp)

参考:美容室・ヘアサロン選びのきっかけや決め手は? – HAIRLOG SPECIAL

立地が広告の役割を果たす

立地が良ければ、それ自体が強力な広告の役割を持ちます。

整体院・鍼灸院の来院調査によると、通りがかりの看板(35.4%)、通りがかりののぼり(13.8%)を見て探す人が多いことがわかっています。

人通りの多い場所に鍼灸院を開設すれば、通行人から自然に認識されやすくなります。

さらに看板や外観に工夫を凝らすことで、新たな患者さんを引き寄せることができます。

立地の選び方次第で、広告費をかけずとも集客力をアップすることができます。

参考:アンケート調査「整体院・鍼灸院を選ぶ際の決め手」実施 約6割が行きつけの整体院があるとの結果|インターリンク株式会社のプレスリリース (atpress.ne.jp)

鍼灸院の開業におすすめの立地4選

駅近

駅前は、人通りが多いことが最大の魅力です。

複数のダイヤが集まる主要駅となれば、時間帯や曜日に関係なく集客しやすいことが特徴です。

通勤・通学ルートにあるため、忙しい方でも立ち寄りやすく、リピーターがつきやすくなります。

また、さまざまな人が集まるため、さまざまなタイプの患者層を獲得できます。

ただし、駅前は競争が激しく、フランチャイズ店などが多く存在します。広告や差別化戦略に力を入れる必要があります。

さらに、賃料が高めであるため、それに見合うだけの売上確保が必要です。

住宅街

住宅街にある鍼灸院は、近隣住民が見込まれます。

住宅街では、鍼灸のニーズがある30代から高齢者までの年齢層が集まりやすく、患者さんの紹介や口コミで新規患者が増える傾向があります。

また、賃料が比較的リーズナブルであることから、自宅兼治療院としてコストを抑えた開業を考える方にはおススメです。

ただし、住宅街では集客に限界があります。

とくに高齢化が進んでいるエリアでは新規患者を獲得するのが難しく、既存患者を失ったときのダメージは大きいです。

したがって、立地を決める前に、人口変動を調査し、周辺からも患者を集められるかを考えることが大切です。

商店街・商業施設

商店街・商業施設では、週末やセールイベントなどで定期的に人が集まります。

特に、主婦や高齢者が多く、買い物や用事のついでに立ち寄ってもらいやすい特徴があります。

商店街であれば、他のお店と協力し、紹介や広告を打ち出すことで患者さんを呼び込むことができます。

商業施設では、施設イベントやセールをきっかけに新規患者を取り込むことができます。

ただし、人通りの多さや賑わいに大きな差があるため、集客力を見極めることが大切です。

また、賃料やロイヤリティが高かったり、独自のルールに従う必要があります。

ビジネス街

ビジネス街では、多くのビジネスマンの集客が見込めます。

デスクワークによる肩こりや腰痛、体の不調を感じる人が多く、鍼灸の需要が高いエリアです。

特に、疲労やストレスが原因となっていることが多く、体のケアやリラクゼーションを求める傾向があります。

また、アクセスの良いことが強みとなり、仕事終わりに立ち寄れることも大きなメリットです。

ただし、ビジネス街の平日お昼時間と夜間の人通りが多い一方で、土日祝日は人通りが少なくなります。

そのため、営業時間や曜日、施術メニューを工夫する必要があります。

さらに、賃料が高い傾向にあるため、コストを見据えた計画が必要です。

鍼灸院向けの「よい立地」の探し方

狙う患者ターゲットから開業場所を絞る

どのような患者をターゲットにするかによって、立地の選び方が変わります。

たとえば、高齢者が多いエリアで美容やスポーツ疾患を打ち出しても集客につながりません。

メインの施術メニューと照らし合わせて、ターゲットに合わせた立地選びを意識しましょう。

【ターゲット別おすすめ立地】

スクロールできます
ターゲット層向いている場所特徴と理由
若年層
(20~30代)
駅近
商業施設
・通勤、買い物ついでに利用しやすい
・昼夜問わず人通りが多い
ミドル層、ビジネスマン
(30~50代)
ビジネス街
駅近
・平日夜間の人通りが多い
・疲労回復、体ケアの需要が高い
シニア層、高齢者住宅街
商店街
・成熟住宅街に多く住んでいる。
・徒歩圏内で通いたい人が多い
スポーツマン学校周辺
住宅街
・スポーツ活動している学生が多い
・新興住宅街では運動施設やジムが多い
ターゲット別おすすめ立地

診療圏調査をする

診療圏調査とは、選んだエリアの適性を調べるための調査です。

開業後の成功に欠かせないステップです。以下のポイントをおさえて、ベストな立地を見つけましょう。

【STEP1.人口動態を調べる】

エリア内の居住者数と年齢分布、性別を調べます。

jSTATMAPでは、無料でエリアごとに統計を視覚的に知ることができます。

詳しい使い方について、Instagramにて紹介していますので、ご参考になれば幸いです。

STEP2.将来性を調べる

20、30年先まで長期的に集客が見込めるか評価しなければいけません。

行政の開発計画や人口推移を予測する必要があります。

これらの情報は、市役所が独自に調査しており、ホームページなどで公開されていることがほとんどです。

また、地域ごとの人口統計(推移)については、統計リアルにて無料で調べることができます。

【STEP3.通行経路の確認】

日常的に多くの人が利用する経路を確認しましょう。

道路や公共機関、施設を通行経路として把握し、できるだけこれに沿った場所に開業しましょう。

【STEP4.競合の分析

診療圏内にて、競合となる同業者、同業類似先の数を調べましょう。

同じターゲットを対象としている先はないか?どんな集客に力を入れているのか?コンセプトに違いはないのか?

GoogleMapなどから競合先の特徴を調べておき、差別化できるポイントを探しておきましょう。

物件を見つけ出す

立地の候補が決まったら、物件探しを始めましょう。以下のステップで物件を見つけることができます。

【STEP1.オンラインでの検索

インターネット利用:多くの物件はネットで検索できます。

オンラインの不動産サイトやポータルを活用して、立地に合った物件を見つけましょう。

非公開物件のチェック:ネットに掲載されていない非公開物件もあります。

並行して、地域の不動産会社や気になる建物のオーナーに直接問い合わせるなど調べておきましょう。

【STEP2.現地での確認

内見を実施:物件の状態や雰囲気を確認するために、必ず内見を行いましょう。

建物の老朽化や設備の状態、アクセスの良さなどをチェックしましょう。

物件の目星がついたら、契約前に保健所から開業条件を満たしているのかチェックをしておきましょう。

築年数の浅いマンションやアパートでは、契約を断られることがよくあります。

しかし、最近では鍼灸にも対応したレンタルサロンやシェアオフィスが増えています。

詳しくは、こちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

賃料を無理なく払える

無理なく支払える範囲での物件を選ぶことは重要です。

賃料は常に支払わなければいけないため、経営を圧迫しないよう注意しましょう。

また、生活費や閉業時の撤去費用を含め、売上がなくても最低3ヵ月~6ヶ月は続けられる開業資金を用意しておきましょう。

想定される支出と開業資金をしっかり見積もり、なるべく小さく始めることが成功のカギです。

【実体験】人気の立地であれば、良いわけではない

人気の立地は一見魅力的ですが、必ずしも集客効果を保証するわけではありません。

たとえば、美容鍼灸や不妊治療といった女性向けの施術では、落ち着いた環境を好む方が多く、目立つ路面店が必ずしも良いとは限りません。

そのため、女性をターゲットにした場合、人気の立地にこだわらず、清潔で安心感のある雰囲気のテナントを優先して選ぶことが重要です。

たとえ目立たない安い物件であっても、ネットを活用することで安定した集客ができます。

人気の立地にこだわりすぎず、ターゲットとなる患者さんにとって、通いやすい空間となる立地をしっかり見極めていきましょう。

まとめ

鍼灸院のコンセプト・ターゲット層によって、ベストな立地が異なります。

開業先の立地(物件)探しは、十分な準備が必要です。

この記事で紹介した各ポイントをしっかりと準備することが、開業の成功に結びつきます。

これから開業や展開を考えている方は、ぜひこの記事を参考にして、自分に合った理想の場所を見つけてください。

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