【開業マニュアル】鍼灸院開業に必要な準備、資金、手続きを徹底解説

「鍼灸院を開業したい」と思っても、「何から準備したらいいのかわからない」「漠然したイメージだけで不安」と悩むものではないでしょうか?

実際に開業するとなると、開業資金や物件探し、申請手続きなど多くの悩みが付きものです。

特に「どれくらいの資金が必要なのか」と「開業準備のスケジュール感」といった部分は気になる方は多いでしょう。

本記事では、鍼灸院開業を目指す方に向けて、必要な資格や申請手続き、資金の目安、そして開業までの具体的な流れをわかりやすく解説していきます。

目次

開業するために必要な資格・条件とは

鍼灸院を開業するためには、資格・条件の2つを満たす必要があります。

1.【はり・きゅう国家資格】

鍼灸院の開業には、「はり・きゅう国家資格」が必須です。

「はり・きゅう国家資格」には、開業権が含まれています。

そのため、国家試験に合格すれば専門学校を卒業後すぐに開業することができます。

2.【施術管理者の登録】

「はり・きゅう国家資格」だけで開業はできますが、自由診療しか行えません。

保険を使った診療を行うには、さらに「施術管理者の資格」が必要です。

この資格を取得するには、1年以上の実務経験と施術管理者研修の修了が条件となります。
※施術管理者研修は、16時間以上(およそ2日間)の受講となります。

施術管理者登録を持っていれば、保険施術を含め、訪問鍼灸などの幅広いサービスをすることができるようになります。

鍼灸院の開業資金はいくら必要?資金を集め方3パターン

鍼灸院を開業するには、どれくらいの資金が必要かを事前に知っておくことが重要です。

ここでは、開業資金の目安と開業資金を集めるための方法を解説します。

鍼灸院の開業資金は、いくら必要?

鍼灸院を開業するには、200~800万円ほどかかるといわれています。

鍼灸院開業にかかる初期費用は、主に以下の6つの項目になります。

開業にかかる初期費用の内訳

・テナント費用
・施工費(内装・外装など)
・設備、備品などの費用
・広告費(ホームページやチラシ代など)
・6ヶ月~1年分の運転資金(賃料、水道光熱費、消耗品費、通信料など)

開業直後に売上が順調に上がることが理想ですが、実際には集客がうまくいかず、経費ばかりがかさんでしまうこともあります。

これに備えて、初めはなるべく低コストでスタートし、開業後少なくとも6ヶ月~1年分の運転資金を確保しておくことが重要です。

最近では、低コストで開業できるレンタルサロンが注目されています。

詳細について、こちらの記事を解説していますので、ぜひご参考にしてください。

開業資金を集めるには「公的機関」「金融機関」「身内、知人」の3パターン

開業には多額の初期費用に加え、6ヶ月から1年分の運転資金も用意しなければいけません。

自己資金だけでは足りないことが多いため、資金調達をを考えることが一般的です。

資金調達にはいくつか方法はありますが、代表的なものは以下の3パターンです。

①公的機関

国や地方自治体から、融資を受けることができます。

中小事業者への支援や経済の活性化を目的としているため、融資を受けやすいことが特徴です。

また、金利が低く、返済期間が長く設定されていることが多く、連帯保証人が不要であることが多いです。

たとえば、「日本政策金融公庫」では、必要な融資額の1/2〜1/3に相当する自己資金があれば、審査に通りやすいと言われています。
例)500万円の融資を受けたい場合、自己資金150~250万前後があればクリアしやすい。

そのため、はじめて鍼灸院開業する事業者には向いているとされています。

しかし、審査の手続きが多く、振り込まれるまでに時間がかかるため、いますぐ調達したい方には向いていません。

金融機関

大手銀行での融資は難しいことが多いですが、地方の銀行では融資を受けることができるかもしれません。

特に地域密着型の地方銀行では、小さな事業者への融資に力を入れていることがあります。

ただし、地方銀行であっても、公的機関に比べてシビアな審査であることが多いです。

鍼灸院開業の際は、返済能力に不安があると判断されることがあり、銀行から信用保証協会を通して融資を受けるよう提案されることがあります。

身内、知人

身内や知人から融資を受けることも1つの手です。

すぐに資金調達できることが最大メリットであります。

しかし、身近な関係だからこそ、お金の貸し借りが原因で関係が悪化するリスクもあります。

そのため、信頼を守るためにも口約束は避け、必ず契約書を作成し、返済計画を明確にしておくことが重要です。

また、事業の進捗を定期的に報告し、信頼を守りながら返済していく姿勢が大切です。

鍼灸院開業までのスケジュールと流れ

鍼灸院を開業するには、物件の準備期間を見込んだ計画が必要です。

新築戸建を選ぶ場合、建設には8~15カ月かかることが一般的です。

一方、テナントを利用する場合は、改装に2〜3ヵ月ほどがかかります。

これらのことから、開業までにはおよそ1年半(18カ月)ほど見込んで準備すべきとされます。

以下では、開業に向けたスケジュールとその準備内容をわかりやすく解説します。

【18カ月前~】コンセプト設計を決める

成功する鍼灸院になるには、優れたコンセプトを持つことが必須です。

コンセプトとは、「どんな治療院にしたいのか」「どんな患者さんに選ばれたいのか」という価値と方向性を決めるものであります。

しっかりとしたコンセプトを持つことで、患者さんにとってわかりやすくなり、選ばれる決め手になります。

コンセプトを決めるには、「得意な治療法」と「ターゲット患者層のニーズ」を組み合わせることがポイントです。

【コンセプトの決め方の例】

得意な治療:美容鍼灸
ターゲット患者層のニーズ:癒されたい
⇒コンセプト:アロマで癒されながらもキレイになれる個室型の鍼灸院

得意な治療:自律神経系
ターゲット患者層のニーズ:仕事がない休みの合間に通いたい
⇒コンセプト:疲労回復、職業病を診れる夜間型の鍼灸院

得意な治療:スポーツ障害、リハビリ系
ターゲット患者層のニーズ:早くケガや痛みを治したい
⇒コンセプト:身体のリカバリーとメンテナンスができるスポーツ専門鍼灸院

【6~18カ月前】事業計画書を作成、開業資金を準備する

開業資金を集めるためにも事業計画書を作りましょう。

事業計画書には、「運転コストはいくらか」「周辺の人口はどれくらいか」「ターゲットとなる住人の数はどのくらいか」「見込まれる来院数はどれくらいか」「競合先の数はどのくらいか」といったエリア分析による見込み数字を入れましょう。

これにより、融資担当者に信頼されやすくなります。

【6~12カ月前】物件探しする

コンセプトと事業計画書ができたら、開業後のイメージが見えてくる頃でしょう。

なるべく経営を圧迫しないコストで、患者さんにとって良い立地とデザインの物件を選びましょう。

開業時の立地選びについて、知りたい方はこちらの記事に詳しく解説しております。

鍼灸院を開業には、「設備構造基準」にクリアした物件でなければいけません。

設備構造基準
  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること
  • 施術に用いる器具、手指などの消毒設備を有すること

目星の付いた物件があれば、保健所に確認し、その物件で開業できるかをあらかじめチェックしておきましょう。

【4~6カ月前】内装工事・備品を準備する

物件が決まったら、院内のレイアウトを決めます。場合によっては、内装工事が必要になることもあるでしょう。

院内のデザインやインテリアは、開業後の集客力を大きく左右させます。

一度改装が終わってしまうと変更できないため、業者とのイメージのすり合わせが重要です。

そのため、密にコミュニケーションができる実績ある業者を選びましょう。

これと同時に、ホームページの制作、備品・消耗品の準備をしておきましょう。

ホームページでは、ランサーズなどで安く作ってもらえます。

備品・消耗品は選び方によって、空間の快適さが大きく変わります。

必要最低限の備品・消耗品の選び方について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

【1~4カ月前】ホームページ開設、開業届、施術管理者登録する

いつでも診療ができるようになったら、開業手続きをしましょう。

開業するには、以下の手続きが必要になります。

・開業届(施術所開設届)
・税務署への開業届

ステップ詳細必要書類
①施術所を
事前に見てもらう
開設届を出す前に、施術所の内見をしてもらう
②保健所へ開業届を提出業務開始から10日以内に
提出
施術所開設届
平面図
はり・きゅう師の免許証
本人確認証
施術所廃止届
印鑑
③税務署へ開業届を提出事業を始めてから1カ月以内開業・廃業届出等書
印鑑

開業届

営業を開始してから10日以内に、開業届を保健所へ提出しなければいけません。

初めて開業する場合、事前に保健所の立ち合いチェックをしてもらいましょう。

開業届を提出する際には、「はり師・きゅう師の免許証」「運転免許証」「印鑑」もセットで用意して提出しましょう。

施術管理者登録

保険診療も行う場合、施術管理者の登録を済ませましょう。

1年以上の実務経験と施術管理者研修の修了している必要があります。

施術管理者登録は、16時間以上(およそ2日間)の受講が必要です。

研修がある日程について、各地域の厚生局HPにて事前に確認しておきましょう。

まとめ

この記事では、鍼灸院開業に必要なステップとそのポイントを解説しました。

鍼灸院の開業は、多くのステップが必要ですが、1つ1つ計画的に進めることで成功に近づけます。

今回の記事を参考に、開業までに必要な準備とスケジュールを把握し、夢の独立開業が実現できるようにしましょう。

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