鍼灸院の開業に必須!商圏調査の基本とやり方を解説​

どんな鍼灸師でも、自分の院には多くの患者さんに来てもらいたいと思うはずです。そんな時に役立つのが商圏調査です。​

しかし、どのように商圏調査をすればいいのか、やり方がわからず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。​

そこで、今回は、証券調査の基本的なやり方から役立つツールまでご紹介します。​

目次

商圏調査とは​

「商圏調査」とは、来院を見込めるターゲット層が生活しているエリアを調べることです。

人口や年齢層、競合の有無などを分析し、その地域にどれだけの集客ポテンシャルがあるかを判断します。

自院のコンセプトやターゲットと合っているかを見極めるうえでも大切なポイントです。

開業の判断だけでなく、集客や経営の戦略を立てる際にも役立ちます。

専門の業者に依頼する方法もありますが、費用が高くなりがちです。

予算をかけなくても、基本的なことなら自分で調べることは可能です。

なぜ鍼灸院で商圏調査が必要なのか

開業の成功率を高めるには、商圏調査は必ず必要になります。

ここでは、詳しい理由について解説します。

患者は「通いやすさ」で選ぶから

鍼灸院である以上、患者さんには院まで足を運んでもらう必要があります。

施術の技術や料金、接客の良さなども選ばれる理由になりますが、そもそも通いやすい場所にあるか が大きなポイントになります。

実際、整体サロンのアンケート調査では、「通いやすさ」が店選びのポイントとして約55%と高い割合を占めています。

それだけに、どれだけサービスが良くても、アクセスが悪ければ通い続けるのが難しくなります。

結果として、新規の来院が増えにくく、集客にも限界が出てしまいます。

整体サロンを選ぶ際に、特に重視するポイントは「施術者の技術力」と「通いやすさ」!株式会社アプレックスが、「健康意識が高い人の整体サロン利用実態と選択基準」に関する調査を実施! | 株式会社アプレックスのプレスリリース

競合が多いと生き残るのは難しいから

鍼灸院を開業する場合、鍼灸院以外にも、整体院やエステ、カイロプラクティックなど、数多くの競合が存在します。

開業したいエリアが決まっていても、同じコンセプトの競合がすでにある場合、そのエリアでの見込み患者は競合に流れてしまっており、新規集客が難しいかもしれません。

特に、差別化が求められる中で、似たような院が近くにあると違いを打ち出せず、競争に埋もれてしまいます。

その結果、価格を下げることで集客を図るしかなくなり、経営が厳しくなるリスクが高まります。

そのため、開業前には、競合の状況を把握し、他院にはない差別化できるポイントを明確にすることが大切です。

エリアごとの特性を知らないと失敗するから​

エリアの特性とは、人口数や年齢、性別の割合といったものを指します。

ターゲットとなるエリアに住んでいる住人は、どのような人が多く、どのようなライフスタイルを送っているのか想定することが大切です。

たとえば、20~40代が多いエリアでは、「どんな移動手段が多いか」「人通りが多い場所はどこか」「何時ごろに人が増えるのか」「平日と土日の交通量は?」といった点を調べることで、ターゲットにマッチした営業時間帯や宣伝方法を考えやすくなります。

商圏調査をしなかった場合、想定していたターゲット層と実際の住人がずれてしまい、経営の方向性が的外れになるかもしれません。

また、たとえターゲット層が多く住んでいるエリアでも、場所が分かりにくかったり、アクセスが悪かったりすると、集客できずに失敗することがあります。

エリアの特色を知ることで、想定とのズレを解消するため、商圏調査は必要だと言えます。

商圏調査のやり方と流れ​

商圏調査を行うには、基本的に以下の4ステップで分析を進めることをおすすめします。

  • 商圏調査のエリアを絞る
  • 競合状況を調べる
  • 統計データを調査・分析する​
  • 動線データを調査・分析する​

各ステップのやり方について、詳しく解説します。

商圏調査のエリアを絞る

商圏調査するエリアの範囲を決めましょう。

商圏エリアを決める際、到達時間15分を目安としましょう

「徒歩」「自転車」「車」の3つの移動手段ごとに、どこまでが対象エリアになるか確認してみましょう。

一般的に、近いほど来院の確率や頻度が高くなる傾向があります。

特に、オープン時にポスティングをするなら、近隣エリアほど効果が出やすく、集客につながりやすいと言われているため、注意深く分析しましょう。

移動手段移動範囲来院頻度
徒歩半径2㎞ほぼ毎日
自転車半径5㎞週に1~2回
半径10㎞1~3ヵ月に数回

競合状況を調べる

Googleマップで競合の数や場所を確認 してみましょう。

次に、競合店ごとの雰囲気、料金、主なメニュー、口コミ評価、営業時間帯 などをリストアップし、それぞれの特徴を整理します。

そのうえで、自分の院ならではの強みやコンセプトの違いを見つけ、どこで勝負できるのかを考えます。

もし、競合相手が同じスタイルであり、自院に独自の魅力がなければ、競争を避けるようにしましょう。

分析項目A整体院B鍼灸整骨院自分の院
距離半径5㎞圏内半径10㎞圏内
雰囲気マンションの1室
プライベートサロン
女性向けの内装
大衆型テナント
中年~高齢者向けな雰囲気
ベット10台設置
マンションの1室
プライベートサロン
女性向けの内装
料金8,000円/60分5,000円/60分10,000円/60分
主なメニュー美容整体慢性痛(肩こり・腰痛)美容+マッサージ
営業時間帯平日夜土日営業日曜・平日営業
口コミ評価★★★☆☆★★★★☆

統計データを調査・分析する​

商圏エリアに住んでいる住民の統計データを調べましょう。

統計データを出すには、「jSTAT MAP」という統計ツールが役立ちます。

最初に確認すべきデータは、「人口」「年齢」「男女の数」の3点です。

もし、子育て世代の親をターゲットにする場合は、子供の人口も確認することで、どのエリアに集まっているのか把握できます。

動線データを調査・分析する​

商圏調査では、動線データの調査も重要です。

時間帯や曜日によって、見込める患者数が変わります。

動線データを分析すれば、どの時間帯や曜日にどんな経路を使って人が移動しているかが分かり、予想される患者数のズレを防げます。

また、動線データを通じて商圏バリアも把握できます。

商圏バリアとは、新幹線や橋のない川によって、距離が近いもののアクセスが悪いエリアであることを指します。

動線データによって、商圏バリアを除いた、実際に見込める商圏エリアを知ることができます。

動線データを調べるには、「通過人口メッシュ分析 – RESAS 地域経済分析システム」が役立ちますので、活用しましょう。

【無料】商圏調査に役立つツール

商圏調査にはさまざまなツールが用いられるますが、ここでは無料のツールに絞って紹介します。

はんけい

はんけい(地図を使って半径を調べるサイト)

「はんけい」では、距離ごとに赤、緑、青の3種類の円を簡単に作成できます。

また、メートル単位での設定もできるため、商圏が狭い店舗や人口密集地に役立ちます。

J-statmap​

jSTAT MAP

「「j STAT MAP」は、総務省統計局と独立行政法人統計センターが提供するマップツールです。

国勢調査や経済センサスなどの統計データをもとに、年齢や人口などのデータを地図上に表示することができます。

RESAS

通過人口メッシュ分析 – RESAS 地域経済分析システム

地域の経済を分析するシステムとして、経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部事務局)によって提供されているツールです。

「平日・休日」「年代」「性別」など調べたい属性を指定し、交通量を調べることができます。

まとめ

商圏調査を行うことで、集客のポテンシャルを把握できます。

調査のステップは、エリア選定、競合調査、統計データ分析、動線データ分析の4つです。

商圏調査を通じて、開業エリアの精度を高めたり、候補エリアを絞り込むことができます。

一度開業したら移転は難しい分、商圏調査をしっかりと行いましょう。

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