カルテをどのように書けばよいのか、悩んだことはないでしょうか?
書き方を学ぶ機会も少ないため、正しい書き方が分からないと悩む鍼灸師も多いかと思います。
なんとなくカルテを書いていると、カルテを書く意味が薄れ、患者さんの状態を十分に理解できないことがあります。これでは、適切な治療をすることが難しくなります。
そこで本記事では、カルテを書く目的と基本的な書き方である「SOAP形式」を解説し、具体的な書き方例も紹介します。
カルテを書く目的は?
カルテを書く目的として、以下のポイントを十分に理解し、適切にカルテを記録することを心掛けましょう。
保険診療では、カルテ記入は義務
保険適用の鍼灸治療では、カルテの記入は義務です。保険を使って施術できる条件は、以下のとおりです。
- 保険対象の症状(病気)であること
- あらかじめ医師からの同意があること
保険適用が認められている対象の疾患は、以下のとおりです。
- 神経痛…手足のシビレ、坐骨神経痛など
- リウマチ…慢性的な各関節の腫れや痛み
- 腰痛症…慢性的な腰痛
- 五十肩…肩が原因で腕が上がらない
- 頚腕症候群…首や肩、腕などに起こる痛みやシビレ
- 頚椎捻挫後遺症…事故によるむち打ち症など
自費の場合、カルテを作成しなければいけない法的な義務はありません。
しかし、患者さんからカルテの開示を求められたり、税務調査が入って患者数を偽っていないのか、すべてチェックされることがあります。
思わぬときにカルテの開示が求められるため、保険・自費関係なしに、ずさんなカルテの記入は訴訟トラブルを招く恐れがあります。
適切な治療には、カルテは必要不可欠
正しい診療や治療をするためには、患者さんの訴えや症状の変化を把握することが必要不可欠です。
鍼灸においても、患者さんのわずかな体調の変化や訴えをしっかり掴めるかで治療効果を大きく左右します。
したがって、鍼灸におけるカルテは「カルテを見れば必要な情報がすぐに分かる」という状態にしておく必要があります。
カルテがないと、診断が難しくなるばかりか、見当ちがいな施術をしてしまうことになりかねません。
正しい判断と施術をするためにも、カルテは極めて重要な存在なのです。
患者さんに治療の根拠を説明するため
患者さんは、「なぜその治療をしたのか」「治療内容を知りたい」「本当によくなるのか」など必ず説明を求めてきます。
こうしたなかで、カルテを記入しておくことで、根拠にもとづいた治療内容をスラスラと話せるようになります。
たとえば、悪い姿勢がもとで腰痛になった患者さんが来院したとしましょう。
その際、「どれくらいの痛みがあったのか」「姿勢の状態」「可動域」をペインスケールや写真でカルテで記録したとします。
患者さん本人でも気づいていないカラダの変化を、過去のカルテと照らし合わせて説明することで、患者さんは施術の必要性と信頼を抱きやすくなります。
記入すべき必須項目
どんな患者さんでも、記入すべき重要な情報があります。具体的には以下の項目になります。
- 患者さんのプロフィール:氏名、年齢、住所、電話番号、メールアドレス
- 診療について:主訴、傷病部位、服用薬、既往歴(ケガ、病気)、アレルギー、喫煙や飲酒などの有無
- 治療方法:施術部位、使用したはり・お灸、医療機器、治療時間
- 保険診療の場合:被保険者番号、対象疾患、部位数
カルテに記入する情報は、必ずしも多ければよいというわけではありません。
自分の治療法において、必要な情報を追記して書き込めるようにすることがオススメです。
なお、カルテフォーマットの作り方は関連記事の「無料で鍼灸カルテを簡単入手!|テンプレート入手方法や独自のカルテの作り方を紹介」で詳しく知れますので、ぜひ参考にしてみてください!
カルテの書き方として知られる「SOAP」とは
SOAP(ソープ)とは、多くの医療機関で採用されている記入方法です。SOAPは「Subject(主観的情報)」、「Object(客観的情報)」、「Assessment(評価)」、「Plan(計画)」の4つの順に書いていく「型」です。
カルテを見た誰もが分かりやすく、見やすいと感じる「型」として、臨床現場にて効果を発揮します。
SOAPの型を使うメリットとして、
- あとから誰が見てもわかりやすい
- 考察から治療の判断に至ったまでのプロセスがイメージしやすい
などがあります。
SOAP式カルテの記入例
イメージしやすいようにSOAPの型による記入例となります。
人体図イラストや色付きペンを使うと、視覚的にイメージしやすくなるためオススメです。
【SOAP カルテの記入例】
SOAPを書くときの注意点
SOAPを書くときには、いくつか注意点があります。
時間がかかりやすい
4つの項目を順番に書いていくため、時間がかかりやすくなります。たくさんの情報を、わかりやすく整理するのに、初めは苦労しやすいことが多いです。
忙しい時や患者さんが多い時には、この時間が負担になることがあります。
最近では、電子カルテの登場により、初心者でもSOAPのカルテが作りやすくなりました。
SOAP形式のフォーマットや人体図イラストなどが使えるため、しっかり書きたい鍼灸師には、電子カルテは外せないでしょう。
電子カルテについて、気になる方は「鍼灸つながるカルテ」を見てみてください。
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情報整理が必要
SOAPは考察・診断・診療プランをわかりやすく記録ができる書き方です。しかし、過剰に情報を入れてしまったり、関連性のないものを記入してしまうと、膨大な情報がつまったカルテになります。
あとでカルテを振り返ったときに、重要な情報を見落としてしまうリスクが大きくなります。
情報が複雑にならないように、必要な情報を見つけ出してシンプルにまとめることがポイントです。
まとめ
鍼灸において、患者さんからの情報はとても大切なものです。診察から治療までのプロセスをわかりやすくしてくれるSOAPは、とても信頼できる形式といえるでしょう。
はじめは、情報を入れすぎたり、上手くまとまらなかったりするかもしれません。しかし、常に意識して書いていくことで、自然と書くスピードだけでなく、診断スキルもレベルアップします。
治療家としてのスキルアップのためにも、ぜひ取り入れてみてください。
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