近年、鍼灸院においても現金以外の支払い方法が求められるようになっています。
患者さんの利便性を高め、会計をスムーズに進めるために、カード決済の導入を検討中の方も少なくないでしょう。
しかし、カード決済の種類や導入方法については、まだよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、カード決済の種類や選び方、導入までの流れを分かりやすく解説します。カード決済の導入を検討中の方はぜひご一読ください。
キャッシュレス・クレジットカード決済は鍼灸院に必要?

近年、キャッシュレス決済の利用が増え、多くの人が現金を持ち歩かなくなりつつあります。
経済産業省の調べによると、キャッシュレス決済の普及は、スマートフォンの普及や政府の推進により進んでおり、2022年には決済全体の36.0%を占めました。

(出典:経済産業省)
内訳(2022年時点)
- クレジットカード…30.4%
- デビットカード…1.0%
- 電子マネー…2.0%
- コード決済…2.6%
また、同省は2025年までにキャッシュレス決済比率を約40%に引き上げる目標を掲げています。
このような流れに伴い、患者さんの利便性を高めるため、鍼灸院でもキャッシュレス決済の導入が今後ますます求められていくと考えられます。
参考:2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました|経済産業省
鍼灸院で利用されているカード決済の種類

カード決済にはいくつかの種類があります。
ここでは、鍼灸院で導入する際によく利用される以下4種類について解説します。
- クレジットカード
- 電子マネー
- QRコード
- ICカード
クレジットカード
クレジットカードは、支払いを後払いできるカードです。
患者さんがカードで支払うと、その場では現金を使わず、後で請求されます。
VisaやMastercardなど多くの人が利用しているため、導入すると幅広い患者さんに対応できます。
デビットカード
デビットカードは、患者さんが銀行口座のお金を即座に引き落として支払います。
クレジットカードと違い、後払いではなく即時決済のため、使いすぎの心配がなく、計画的な利用がしやすい仕組みです。
即時入金されるため、鍼灸院側にとっても資金管理がスムーズになるメリットがあります。
電子マネー
電子マネーは、カードやスマホにあらかじめお金をチャージして使う「プリペイド型」が一般的です。
楽天Edy、WAON、nanacoなどがあり、小額の支払いに向いています。
現金のやり取りがいらず、スムーズに決済できるのが特徴です。
QRコード
QRコード決済は、患者さんがスマホでQRコードを読み取るだけで支払いができる方法です。
PayPayや楽天ペイなどが有名で、スマホさえあれば簡単に使えます。
現金やカードを持ち歩かなくても済むのが便利な点です。
ICカード
ICカードは、カードを機械にかざすだけで支払いができる方法です。
交通系ICカード(例:SuicaやPASMO)や一部のクレジットカードが対応しており、手軽でスピーディーな決済が可能です。
鍼灸院に合うカード決済の選び方

カード決済を導入する際は、自院に合ったサービスを選ぶことが重要です。
▼カード決済の選び方のポイント
- 必要性を理解する
- 導入コストを把握する
- 機能を確認する
- サポート体制を確認する
- セキュリティ対策を確認する
特に上記のポイントを押さえて、最適な選択を目指しましょう。
Point1:必要性を理解する
カード決済を導入する前に、まず自院での必要性をしっかり理解することが重要です。
カード決済は患者さんの利便性を高めるだけでなく、現金を持ち歩かない層にも対応でき、新規患者の集客やリピート率アップにもつながります。
一方で、高齢者中心で現金支払いが主流の場合や、小規模な運営でコストを抑えたい場合は、カード決済の導入が逆に負担になることもあります。
自院の患者層やニーズを考慮し、カード決済の導入が本当に必要かどうかを見極めましょう。
Point2:導入コストを把握する
カード決済の導入には、初期費用や月額利用料、決済手数料、トランザクション費用(決済のデータ処理に必要な通信費)がかかります。
▼カード決済導入にかかる諸費用の相場
初期費用 | 1万円~5万円 |
月額利用料 | 数千円~数万円 |
決済手数料 | 決済金額の2~10% |
トランザクション費用 | 1回の決済あたり数円~数十円 |
これらのコストが積み重なると、経営に大きな影響を与える可能性があります。
そのため、予算内で運営できるかを事前に把握しておくことが大切です。
複数の決済サービスを比較し、最もコストパフォーマンスが良い選択肢を見つけましょう。
Point3:機能を確認する
カード決済サービスを選ぶ際は、必要な機能が備わっているかを事前に確認することも重要です。
▼確認しておきたい機能(一例)
- 対応する決済手段:主要なブランド(VISA、JCB、MasterCard、American Expressなど)やスマホタッチ決済などに対応しているか
- レシート発行:領収書やレシート発行機能があるかどうか
- デバイスの大きさ:受付スペースに収まる、または持ち運びできるサイズか
- コードレスの持続時間:フル充電でどれくらい使えるか
- 通信方法:Wi-Fiがなくても使用できるか
- さまざまな料金設定:施術メニューごとに異なる金額設定ができるか
これらの機能を事前に洗い出して比較することで、自院に最適な決済サービスを選ぶことができます。
患者さんとスタッフ両方の利便性を考えた選択に心がけましょう。
Point4:サポート体制を確認する
カード決済の導入後、機器の故障やトラブルが発生する可能性もあります。
その際、すぐに対応をしてくれるサポート体制が整っているのかの確認は非常に重要です。
問い合わせ先やサポート時間を事前に確認し、信頼できる業者を選びましょう。
また、サポートが電話やメールだけでなく、オンラインチャットなどもあるため、確認しておくことをおすすめします。
Point5:セキュリティ対策を確認する
カード決済は、患者さんの個人情報や決済データを不正利用から守るため、万全なセキュリティ対策が求められます。
最新のセキュリティ技術を採用しているのかチェックし、信頼度・安全性が高いとされているサービスを選びましょう。
鍼灸院にカード決済を導入するまでの流れ

カード決済を鍼灸院に導入するステップは以下の6STEPです。
- カード決済の申し込み
- 決済端末の準備
- システムの設定・試運転
- 患者さんへの周知
- 運用開始
- 定期的な確認・改善
導入の流れを把握しておくことで、準備や手続きがスムーズに進みます。
ここでは、カード決済を鍼灸院に導入するための具体的な手順を説明します。
STEP1.カード決済の申し込み
まず、カード決済サービスの提供業者に申し込みを行います。
複数の業者から提供されているため、前章で解説した「カード決済の選び方」を参考に自院に最適なサービスを選びましょう。
また、申し込み時には、必要書類を揃えた上で契約内容を細かく確認することが大切です。
特に、手数料やサポート体制、解約条件について十分に理解しておきましょう。
信頼できる提供業者を選ぶことで、後々のトラブルを防げます。
STEP2.決済端末の準備
カード決済を行うためには、専用の決済端末が必要です。
申し込み後、端末が自院に届いたら、設置場所を決めてすぐに使える状態にしておきましょう。
端末は簡単に操作できるものが多いですが、取扱説明書や動画マニュアルを確認しておくと安心です。
また、ネット接続が必要な端末では、通信環境を事前に整えておくことも重要です。
STEP3.システムの設定・試運転
端末が準備できたら、付属のマニュアルに沿ってシステムの設定を行います。
少額の取引を試して、決済が正常に動作するかを必ず確認しましょう。
この確認作業をしっかり行うことで、導入後のトラブルを防ぎ、スムーズな運用が始められます。
STEP4.患者さんへの周知
カード決済の導入が完了したら、患者さんにその旨を伝えましょう。
院内に案内を掲示したり、受付時に口頭で説明していきます。
また「対応可能なカードブランド」を明確に提示するのもポイントです。
新しい決済方法を理解してもらうことで、スムーズに利用してもらえやすくなります。
STEP5.運用開始
いよいよカード決済の運用を開始します。
最初のうちは不慣れなことも多く、患者さんからの質問や操作ミス等のトラブルがありますが、落ち着いた対応を心がけましょう。
特に、高齢の方や初めてカード決済を利用する方には、手順をわかりやすく説明することが大切です。
また、導入直後はスタッフ全員が端末の操作方法や基本的なトラブル対応を理解しているか再確認し、スムーズな運用を目指しましょう。
STEP6.定期的な確認・改善
運用開始後も、定期的にシステムやサービスの状態を確認することが重要です
決済手数料やサービスの内容変更、セキュリティのアップデートなどが発生していないかをチェックし、必要に応じて見直しや改善を行います。
また、患者さんからの意見や要望を積極的に集めて、サービス向上に役立てましょう。
鍼灸院におすすめのカード決済端末3選
最後に、鍼灸院での利用におすすめのカード決済端末を3つご紹介します。
Spuare

Square(スクエア)は、アメリカ発の決済サービスで、国内では三井住友カードと提携しており、信頼性の高いサービスです。
初期費用や月額費用が不要で、申し込みから最短当日で利用可能です。
多様な決済方法に対応しており、幅広い業種で活用されています。
Squareの端末は大きく4種類あり、その中でも鍼灸院で導入しやすいのは「Square リーダー」と「Squareターミナル」です。

(↑Squareターミナル)
Squareターミナルは、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済などあらゆるキャッシュレス決済に対応、暗証番号の入力やレシートの発行もこれ1台で行うことができます。

(↑Square リーダー)
手のひらサイズの「Square リーダー」は持ち運びに便利なので、訪問先でも安心して支払いを受け付けできます。
- コスト面:初期費用は端末代金のみ、月額固定費なし、決済手数料は業界内でもリーズナブルな2.5%(新規加盟店の場合)
- 利便性:VISAやMastercardなど国際カードブランド6種対応
- スピーディな入金:三井住友銀行やみずほ銀行なら最短翌営業日
Squareは、導入の手軽さとスピードを重視する鍼灸院におすすめです。
参照:Square
AirPAY

AirPAYはリクルートが提供する店舗向けキャッシュレス決済サービスです。
導入コストの低さや多彩な決済手段に対応している点が魅力です。

- コスト面:振込手数料・月額固定費が0円、決済手数料(1.08~3.24%)は業界最安水準
- 幅広い決済対応:主要クレジットカードブランド7社、電子マネー、QRコード決済など全69種以上の決済手段に対応
- スムーズな運用:全銀行で振込手数料が0円で、新たな口座開設も不要
AirPAYは、コストパフォーマンスと利便性の高さから、コストを押さえつつキャッシュレス化を進めたい鍼灸院におすすめです。
参照:AirPAY
steraPack

steraPack(ステラパック)は、三井住友カードのグループ会社であるSMBC GMO PAYMENT株式会社が提供するキャッシュレス決済サービスです。
専用端末「stera terminal(ステラターミナル)」は、クレジットカード決済からICカード、タッチ決済、電子マネー、QRコード決済などさまざまな支払い方法に対応します。

- コスト面:初期費用0円、月額費用も1年間無料の「お試しプラン」あり、決済手数料は業界最安水準(1.98%~)
- オールインワン端末:複数の決済方法に対応し、レシートプリンターやタッチパネル機能、電子サインにも対応
- 充実したサポート:故障時の修理・交換やレシートロール紙の無料提供など、アフターサポートも完備
お店の規模によって選べる3つのプランがあり、導入のしやすさとコストパフォーマンスの高さが特徴です。
参照:steraPack
まとめ
本記事では、カード決済の種類や選び方、導入までの流れなどを解説しました。
キャッシュレス決済の導入は、患者さんの利便性を高め、鍼灸院の集客にもつながります。
導入を検討する際は、必要性、コスト、サポート体制、セキュリティ対策を十分に考慮することが重要です。
カード決済の導入を検討中の方は、まず自院の患者層やニーズを把握し、導入の必要性を見極めたうえで、自院に最適な選択を行いましょう。