「鍼灸師として働き方の選択肢を広げたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
特に、自由な働き方や収入アップを目指して業務委託に興味を持つ方も少なくないでしょう。
しかし、業務委託は自由度が高い反面、収入の不安定さや契約トラブルなどのリスクもあります。
そこで本記事では、鍼灸師が業務委託で働くメリット・デメリットや、委託先を選ぶ際の注意点について解説します。
業務委託を検討中の方はぜひご参考ください。
業務委託とは?

業務委託とは、雇用契約(正社員・パート・アルバイト)のように会社から指示を受けるのではなく、特定の仕事だけを請け負う契約のことです。
以下の表で雇用契約と業務委託の違いを比較してみましょう。
雇用契約 (正社員・パート) | 業務委託 | |
指揮命令権 | 雇用主から指示を受ける | 自分で業務の進め方を決める |
働く時間 | 決められた時間で勤務 | 自由に設定できる |
保険や福利厚生 | 会社が提供(社会保険・労災保険など) | 自分で手続き(国民健康保険など) |
特徴 | 安定収入、福利厚生がある | 自由度が高く、働き方を選びやすい |
鍼灸師として独立を目指す方や、施術内容や働き方を自由に選びたい方は、業務委託が向いているでしょう。
鍼灸師が業務委託で働くメリット

業務委託で働く鍼灸師には以下のようなメリットがあります。
- 働き方の自由度が高い
- 成果次第で収入が増える
- 独立の準備になる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
メリット1:働き方の自由度が高い
業務委託は、働く時間や場所を自分で選べる働き方で、自由度が高いことが特徴です。
例えば、午前中に高齢者向けの訪問施術を行い、午後は自宅近くの施設で施術を行う、といったスケジュールが組めます。特定の曜日だけ勤務したり、週末は完全に休んだりといった選択も可能です。
また、鍼やお灸を中心にした施術スタイルやリラクゼーションを重視したアプローチなど、自分の得意分野に合わせて施術内容を自由に決められます。
家族との時間を優先したり、副業をしたい鍼灸師にとって、業務委託は理想的な働き方といえます。
メリット2:成果次第で収入が増える
業務委託では、施術した件数や成果に応じて収入が決まります。
努力が直接収入につながるため、モチベーションを保ちやすいのもメリットです。
リピーターを増やしたり、技術を磨いて評判を上げれば、さらに収入を増やすこともできるでしょう。
自分の頑張り次第で収入をコントロールできるのは、業務委託の大きな魅力です。
メリット3:独立の準備になる
業務委託は、独立を目指す鍼灸師にとって良い経験になります。
自分の自己管理で仕事を管理するスキルや患者さんとの関係を築く力が身につくため、将来自分の鍼灸院を開業する際に役立ちます。
また、さまざまな現場で経験を積むことで、自分に合った働き方や経営スタイルを見つけることができます。
独立に向けた第一歩として、業務委託はおすすめの働き方です。
鍼灸師が業務委託で働くデメリット

業務委託は自由度が高い一方で、いくつかのデメリットもあります。
- 収入が不安定
- 福利厚生がない
- 契約トラブルのリスクがある
それぞれのデメリットを見ていきましょう。
デメリット1:収入が不安定
業務委託では、施術した件数や成果に応じて収入が決まるため、毎月の収入が安定しないことも考えられます。
特に患者さんが少ない時期や繁忙期でない場合には、収入が減る可能性があるでしょう。
正社員と違い固定給がないため、毎月の収入にばらつきが発生しやすいです。
将来の出費を見越して、お金を管理することが大切です。
デメリット2:福利厚生がない
業務委託では、社会保険や労災保険といった福利厚生がありません。
そのため、自分で手続きして保険料を支払う必要があります。
さらに、有給休暇もなく、休むとその分収入が減ります。
病気やケガに備えて、貯蓄や民間保険の活用を考える必要もあるでしょう。
このように、業務委託は会社のサポートを受けられない働き方であることを意識しておくことが大切です。
デメリット3:契約トラブルのリスクがある
業務委託では、契約内容が曖昧だとさまざまなトラブルに発展する可能性もあります。
例えば、施術の報酬が予想より低かったり、支払いが遅れたりするケースが考えられます。
また、契約書に記載されていない施術以外の業務(受付対応や清掃など)を求められることもあるかもしれません。
契約書は細かい部分までしっかり確認し、不明点は事前に解決しておくことが大切です。
業務委託先を選ぶ際の注意点

業務委託は、企業と個人が対等な立場で契約を結ぶ働き方です。
しかし、実際には企業側が主導するケースが多いのも事実です。
契約内容や勤務条件をしっかり確認しておかないと後々トラブルにつながることがあるため、委託先はじっくり検討することが大切です。
自分の働き方を守るためにも、業務委託先を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- 契約内容を詳しく確認する
- 患者数や集客力をチェックする
- 勤務時間やシフトの柔軟性を確認する
それぞれについて詳しく説明します。
契約内容を詳しく確認する
業務委託で働く際、契約内容をしっかり確認することが重要です。
事前に確認すべき項目を以下の表でまとめたので参考にしてください。
確認項目 | 具体的な内容 |
報酬支払の条件 | ・支払い方法(現金、振込など) ・支払いサイクル(月末締め、翌月支払いなど) ・報酬の計算方法(時間給、施術単価、歩合制など) ・手数料や控除費用(予約サイト利用料、施設利用料、交通費など) |
業務範囲 | ・施術の対象(鍼灸、マッサージ、整体など) ・施術の対象患者(一般の患者、特定の症状の患者など) ・施術時間の制限(1人あたりの施術時間など) ・施術以外の業務(受付、清掃、電話対応など) |
勤務時間 | ・勤務日や時間(曜日や時間帯の指定) ・シフト変更のルール(急な変更やキャンセル対応など) ・休日の扱い(自由に決められるか、特定の休日があるか) ・休憩時間やその取り方 |
その他の責任範囲 | ・患者管理(カルテの記入、アフターケアなど) ・施術道具や消耗品の管理(手入れや補充) ・売上管理や収支報告 ・契約更新や終了に関する条件(解除方法や期間など) |
これらが契約書で明確に記載されているかを確認しましょう。
特に、報酬の支払いタイミングや金額の計算方法、過度な負担をかけられることがないか、などは必ずチェックしてください。
契約書に不明点があれば、契約前にしっかり質問し、解決しておくと安心です。
患者数や集客力をチェックする
業務委託先を選ぶ際、患者数や集客力は自分の収入に大きく影響します。
安定した収入を得るためには、十分な集客力を備えた鍼灸院や地域を選ぶことが重要です。
- 業務委託先の過去の実績や評判を調べる
- 集客力が十分にあるかを確認する
- 安定した収入を得るために必要な患者数が確保できるか確認する
集客力が低い場合、収入が思うように増えないことがありますので慎重に選びましょう。
勤務時間やシフトの柔軟性を確認する
勤務時間やシフトの柔軟性は、自分のライフスタイルに合わせた働き方を実現するために重要です。
業務委託では、勤務時間やシフトが自由なことが多いですが、実際の条件が自分に合っているかを事前に確認しましょう。
- 希望する時間帯に働けるか
- 急なシフト変更に対応できるか
- 休暇の取得がしやすいか など
生活スタイルに合わないシフトだと、ストレスや無理が生じることがあります。
柔軟なシフトが可能かどうかを確認しておくことも大切なポイントです。
まとめ
業務委託で働く鍼灸師には、自由な働き方や収入を増やすチャンスがある一方で、収入の不安定さや契約トラブルなどのリスクも存在します。
自分のライフスタイルや収入面をしっかりと守るために、契約内容、患者数や集客力、勤務時間やシフトの柔軟性など、業務委託先選びのポイントを確認することが大切です。
この記事を参考に、しっかり準備をして、安心して働ける環境を選びましょう。