鍼灸院の料金の設定の方法は?料金を決めるときの考え方を解説!

これから開業を考えている鍼灸師や、新たにメニューを導入する際に料金をどう決めるべきか悩む方は少なくありません。

「高すぎると患者が来ない」「安すぎると利益が出ない」といった不安から、料金の判断に自信が持てないこともあるでしょう。

本記事では、よくある料金設定の考え方や、安定した経営につながりやすい価格設計の考え方をご紹介します。

目次

鍼灸1回の平均支払額は7,600円前後

引用元:(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー 鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2024

リクルートによる2024年のアンケート調査によると、鍼灸施術1回あたりの平均支払額は約7,600円前後であることが明らかになっています。

とくに20代では1万円前後と、全世代のなかでも最も高い傾向にあります。

もっとも低い50代でも、1回あたり平均5000円以上の支払いがされているという結果が出ています。

アンケート結果を踏まえて、1回5,000円以上を目安にしながらも、施術スタイルやターゲット層に合わせた料金にしていきましょう。

よくある料金設定は「相場基準型」と「コスト逆算型」の2パターン

鍼灸院の料金を決める際、よく知られているのが「相場基準型」と「コスト逆算型」の2つです。

それぞれの特徴やメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。

①相場基準型:地域の競合から料金を決める

周りの競合が設定している料金を基準に、自院の料金を決めるやり方です。

患者のほとんどは、近くの治療院の料金を比較して来院を決めるため、コスパが良ければ集客力も高くなります。

まわりの院と同じくらいの料金にそろえることで、「高すぎる」と思われて避けられるリスクをおさえられるのがメリットです。

一方、価格競争に巻き込まれやすく、1度値下げ競争に走ると抜け出しにくくなる点がデメリットです。

②コスト逆算型:運営費+生活費をもとに料金を決める

1カ月に必要な鍼灸院の運営費と生活費を整理し、そこから最低限必要な売上ラインを出すやり方です。

必要最低限の売上ライン
  • 鍼灸院の月間の運営費(家賃・材料費・光熱費など)
  • 生活費
  • 将来の投資や予備費も含めた必要な利益

これらの合計額を「1カ月(営業日数:20日)で集客できる現実的な患者数」で割ることで、1日あたりに必要な売上高を算出します。

この手順によって、理想的な1回あたりの施術単価が見えてきます。

メリットとして、自院の運営費や生活費をもとに計算するため、経営の安定性が高まりやすいという点があります。

しかし一方で、料金が割高に感じられることで、「患者さんとの金額感覚」や「集客数の見積もり」にズレがおこるデメリットがある。

これから料金を決める人へ ─ 経営が続く料金の決め方

料金は「なんとなく」で決めてしまうと、あとから経営に無理が出てきます。

ここでは、将来を見据えた「料金の決め方」を紹介します。

ポイント①必要売上と稼働日数から逆算し、“最低ラインの料金”を出す

ポイント②「一人で完結?スタッフ増員?」未来の経営ビジョンで料金設定を決める

ポイント①必要売上と稼働日数から逆算する

鍼灸院を続けていくには、院のランニングコストと、自分の生活費――この2つを合わせた金額こそが“最低限クリアしたい売上ライン”になります。※月あたり

以下では、その一例をサクッと見ていきましょう。

【1人鍼灸院の場合】

運営経費材料費鍼、灸など20,000
一般経費家賃(管理費込み)130,000
駐車場代15,000
電気代10,000
水道代3,000
ガス代4,000
通話代4,000
団体会員費5,000
その他10,000
広告費ネット掲載5,000
返済費用返済金(利息込み)50,000
小計256,000
生活経費生活費200,000
年金18,000
健康保険料16,000
所得税10,000
住民税16,000
小計260,000
合計516,000

必要な売上が出せたら、次は料金の目安を考えます。

稼働日数:20日(週休2日)とした場合、1日あたりの売上目標は

1日あたりの売上目標

【必要な売上額:516,000円】÷【稼働日数:20日】 = 25,800円/1日あたりの必要な売上

ここで、1日あたりの患者数を予想します。

仮に8時間のうち6人対応できるとしても、予約の埋まり具合を考えて、稼働率60%(4名)で計算します。

1人あたりの目安料金

【1日あたりの必要売上額:25,800円】÷【1日あたりの患者数:4名】 = 6,450円/1人あたりの売上額

平均的な支払い金額が7,600円であることを考えると、料金は7,000円以上にするとよいでしょう。

ポイント②「一人で完結?スタッフ増員?」未来の経営ビジョンで料金設定を決める

「ひとりでやる前提」で料金や院内のつくりを決めて開業すると、あとから苦しくなるケースは少なくありません。

患者さんが増えてスタッフを雇っても、料金が安くベッド数も限られていると、売上が思うように伸びず、人件費だけが大きくなっていくことがあります。

そうならないためにも、将来的にスタッフを雇うことを考えて、必要なベッド数や人件費などのランニングコストを見込んだうえで、料金を設定することが大切です。

鍼灸院の料金はこう考える ─ Google村上憲郎さんから学ぶ料金の考え方

Googleの村上憲郎さんから学んだ 鍼灸院の料金設定のポイント

中根先生は京都にて「鍼灸Meridian烏丸」を開業されており、スタッフを雇用しながら鍼灸院を運営する一方で、雑誌や書籍の出版など幅広く活動されています。

YouTubeチャンネル「日本鍼灸大学(仮)」では、患者として来院していた元Google米国本社副社長・Google Japan社長の村上憲郎氏とのエピソードをもとに、鍼灸の料金設定について語っています。

その中で、中根先生自身の料金設定における失敗体験も紹介されています。

料金設定に悩んでいる方にとって参考になる内容ですので、ぜひご覧ください。

まとめ

料金設定は、なんとなく決めるのではなく、「経営を続けるために必要な金額」から逆算して考えることが大切です。

将来的にスタッフを雇う可能性があるなら、その分のコストも見越しておくべきです。

無理のない安定した運営のためにも、自分のスタイルに合った価格設定をしていきましょう。

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