鍼灸院を開業するには、保健所への登録が必要です。
しかし、「何を準備すればいいのか」「どのタイミングで手続きを進めればいいのか」など、疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、施術所の設備基準や必要書類、開業準備のどの段階で保健所に相談すべきか分からず、手続きがスムーズに進むか心配になることもありますよね。
そこで本記事では、施術所の構造設備基準や保健所登録の流れ、そして相談すべきタイミングについて分かりやすく解説します。
開業準備を円滑に進めるために、ぜひ参考にしてください。
施術所の構造設備基準をおさらい

鍼灸院を開業するには、施術所の構造設備が基準を満たしている必要があります。
主な基準は以下のとおりです。
- 施術所の設備構造基準6.6平方メートル以上の専用施術室を設けること
- 3.3平方メートル以上の待合室を設けること
- 施術室は、室面積の7分の1以上を外気に開放できること(適切な換気装置があれば代替可能)
- 施術に用いる器具、手指などの消毒設備を設置すること
参照元:施術所の構造設備基準等について 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)
また、自宅で開業する場合は、施術室と住居部分を明確に分けることが求められます。
玄関を共有する場合でも、施術所として独立性を確保する必要があります。
レンタルサロンを利用する場合は、そのサロンが設備基準を満たしているか、事前に保健所に確認することが大切です。
基準は自治体によって異なるため、開業前に必ず管轄の保健所で確認しましょう。
保健所登録の具体的な流れと提出書類

保健所登録の手続きにはいくつかのステップがあり、スムーズに進めるためには事前の準備がとても大切です。
①事前相談
②工事着工・施設完成
③開設と届出
④実査
ここでは、保健所登録の流れと必要な書類について、順を追ってご説明します。
1.事前相談
まずは、開業予定地の保健所に相談して、施術所の構造や設備が基準を満たしているか確認します。
この段階で、必要な書類や手続きの流れを把握できるため、スムーズな開業につながります。
平面図や提出書類など、準備できるものがあれば持参することで、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。
なお、事前相談には予約が必要な場合もあるため、事前に保健所のホームページで確認しておきましょう。
2.工事着工・施設完成
施術所の準備が整うように、必要な工事を進めます。
施術室や待合室の広さ、換気設備、消毒設備など、基準を満たすよう業者に伝えましょう。
また、施術所の名称や看板の表示にもルールがあるため、事前相談の際に保健所に確認しておくと安心です。
施術所が完成したら、設備や備品が適切に配置されているか最終チェックを行い、問題がなければ次のステップへ進みます。
3.開設と届出
施術所を開設したら10日以内に「施術所開設届」を保健所に提出します。
主な提出書類は以下のとおりです。
- 施術所開設届(保健所の指定様式)
- 施術所の平面図(設備の配置がわかるもの)
- 業務に従事する施術者の免許証の写し(原本も持参)
その他
- 保健所が指定する書類(法人の場合は別途、以下が必要)
- 登記事項証明書(原本)定款(寄付行為)の写し
書類に不備があると受理されないこともあるため、提出前にしっかり確認しましょう。
4.実査
届出後、保健所の監視員が施術所を訪れ、基準を満たしているかを確認します。これを「実査(じっさ)」と言います。
主に以下の点がチェックされます。
・施術室や待合室の広さ
・構造換気設備や消毒設備の有無
・看板や名称の表示ルールの遵守施術所と住居部分の区分(自宅開業の場合)
実査は通常、平日の営業時間内に行われることが一般的です。
ただし、自治体によっては対応が異なる場合もあるため、事前に管轄の保健所に確認することをおすすめします。
指摘事項があれば、修正後に再検査が必要になることもあります。
スムーズに開業するためにも、事前に基準を確認し、準備を整えておきましょう。
出張専門で業務を行う場合
出張専門で施術を行う場合は、施術所を持たないため「施術所開設届」は不要です。
ただし、「出張施術業務開始届」を業務開始から10日以内に住所地を管轄する保健所に提出する必要があります。
主な提出書類は以下のとおりです。
・出張施術業務開設届(保健所の指定様式)
・資格免許証(原本とコピー2部)
・印鑑本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
提出書類は事前に保健所で確認し、不備のないように準備しましょう。
参考サイト:施術所(あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう、柔道整復)の開設等| 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)
開業準備のどの段階で相談すべき?

開業準備を進める中で、「どのタイミングで保健所に相談すべき?」と迷うこともありますよね。
開業準備には約1年半(18カ月)ほど時間がかかるといわれています。この期間を大きく分けると、以下のような流れになります。
- 18カ月前~:コンセプト設計を決定
- 6~18カ月前:事業計画書を作成し、開業資金を準備
- 6~12カ月前:物件探しを行う
- 4~6カ月前:内装工事や備品準備
- 1~4カ月前:ホームページ開設や開業届、施術管理者登録を行う
保健所への「事前相談」は、物件が決まったタイミングで行うのが理想です。
また、「施術所開設届」は開設後10日以内に提出が必要です。
開業までの流れをイメージし、やることをリストアップしながら進めると安心です。
特に、手続きのタイミングを逃さないよう、事前相談の時期や必要書類は早めに確認しておきましょう。

まとめ
開業準備は多くのステップがあり、その中でも保健所への届出や手続きは特に重要です。
施術所の設備基準を満たし、必要な書類をしっかりと準備することで、スムーズに開業を迎えられます。
出張専門で開業する場合も、必要な手続きを忘れずに進めましょう。
本記事を参考にしながら、保健所への手続きを進め、安心して開業の日を迎えてくださいね。