お灸の1つである「知熱灸」。
名前は知っているものの、用途や特徴(効果効能)、作り方まで知りたいと考える方は多いです。
しかし、知熱灸の効果や使い方など十分に説明しているものは見当たらないのが現状です。
そこで本記事では、知熱灸の基本知識や実際の作り方、注意点までわかりやすく解説します。
これからお灸を学び始めたい方は、ぜひ参考にしてください。
知熱灸とは?

経絡治療の井上恵理(いのうえ けいり)先生によって生み出された灸法です。
円錐状またはピラミッド型の”もぐさ”を皮膚のうえに置いて、線香で点火・燃やします。
患者さんが熱を感じたところで取り除くため、ホワンとした気持ちいい熱刺激であります。
ただし、取り外しが遅れると火傷させてしまうため、施術中は常に目を離さず行わなければなりません。
知熱灸の期待できる効能/効果とは
知熱灸の効能効果・適応症について、以下のとおりです。
【知熱灸において、期待できる効能効果/適応症】
- 血行促進
- 慢性痛
- 冷え性
- 免疫力アップ
- リウマチ
- 自律神経の調整
知熱灸は、やけどを起こさない弱い温熱を与えることで血流を促進させます。
この血流促進により、痛みの物質が流し出され、痛みの緩和や傷付いた組織の修復をサポートします。
お灸の熱が深部まで届くため、慢性痛や冷え性にも効果的とされています。
弱い温熱刺激は、患者さんをリラックスさせるため、副交感神経の反応を意図的に高めることができます。
知熱灸と透熱灸の違いは?

透熱灸は、お米粒ほどにこねたもぐさをツボに直接置き、線香で最後まで燃やし切るお灸です。
そのため、マイルドな熱感の知熱灸とは反対に、透熱灸はチクッとした熱を感じます。
また、燃やし切るため、直径1mmほどの小さなヤケド跡ができます。
※通常、1週間以内に跡は消えます。
透熱灸はお米粒大の小さなもぐさを使うため、熱刺激の範囲がとても狭いです。
そのため、ツボの位置が少しでもズレてしまい、効果があまり出ないこともあります。
透熱灸は体の深部を温め、気管支炎や花粉症などの免疫トラブルや、胃もたれ・腹痛などの内科系トラブルの改善を促します。
お灸の種類 | お灸の大きさ・形状 | 熱の感覚 | 火傷リスク | 深さ |
---|---|---|---|---|
知熱灸 | 1cm前後 ピラミッド型 | マイルドな熱感 | 跡が残らない ※ただし、誤ると危険大 | 比較的、表層~中層 |
透熱灸 | お米1粒ほど 米粒 | 一瞬、チクッとした強めの熱感 | 小さな火傷跡ができる ※通常、1週間以内に消失 | 深層までしっかり届く |
知熱灸の作り方
もぐさを1cmくらいのボール状に丸めます。
火傷リスクを防ぐために、初めての方は少量のもぐさから試してください。
丸めたもぐさを、親指・人差し指・中指で台の上に軽く押し付けて、ピラミッド型または円錐状になるようにします。

作ったもぐさを皮膚の上に置きます。肩や腰など安定しておくことができる部位に置きましょう。
線香またはライターで、もぐさに火をつけます。
熱感を感じたら、すぐさまピンセット・手で取り除きます。

知熱灸の注意点

知熱灸では、もぐさが燃え切ったり落ちたりすると火傷のおそれがあります。
また、人それぞれ熱さを感じるタイミングが違うので、まずは「足三里」など熱を感じにくい場所でテストしてみてください。
赤くなったりヒリヒリしないか事前に確認しましょう。
まとめ
知熱灸は、もぐさを熱く感じた瞬間にはずしてやけどを防ぎつつ、深部まで温めて血行と自然治癒力を高めます。
慢性痛や冷え、自律神経の乱れに効果的とされていますが、火傷リスクがあるため使用時は正しい方法を守りましょう。