1人鍼灸院を経営すると売上・年収はどれくらい?経営として成り立つ目安と売上アップのポイントを解説

自分の鍼灸院を出す際、「どれくらいの収入が見込めるのか」「経営が失敗しないか」といった不安はつきものです。​

一般的な売上や年収、手取り収入の目安が分からないと、経営計画をどのように進めるべきか判断に困ることもあるでしょう。​

そこで本記事では、鍼灸院の売上・年収の現状や年収を踏まえ、年収の計算方法や成功するためのポイントを解説します。​

目次

1人鍼灸院を経営すると​収入はどれくらい?​

1人鍼灸院の年収目安​

勤務する鍼灸師の月収は、約25万円~35万円、年収は約350万円~450万円が一般的とされています。※

※参考:はり師・きゅう師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

一方、1人で経営する場合、480~1,200万円がボリュームゾーンとされています。

収入は営業日数や予約の入り方によって変動するため、さまざまなパターンが考えられます。

【収入モデル】

<主婦・主夫として働く場合>

  • 1日3人施術 × 15,000円 × 週3日(12営業日)= 540,000円
  • キャンセルが出ても40万円超え
  • 月のカルテ枚数:約30枚

<患者受付時間例>

  • 9:30~10:30
  • 10:45~11:45
  • 12:00~13:00

<メインの仕事として働く場合>

  • 1日5人施術 × 15,000円 × 週4日(16営業日)= 1,200,000円
  • キャンセルが出ても100万円超え
  • 月のカルテ枚数:約60枚

<患者受付時間例>

  • 9:00~10:00
  • 10:15~11:15
  • 11:30~12:30
  • 13:00~14:00
  • 14:15~15:15

1日に必要な平均の来院数​

鍼灸院の規模や地域性によって異なりますが、はじめは1日に3~5人程度の来院を目指すと良いでしょう。

ただし、施術内容や料金設定、周囲の競合状況によっても来院数は変わります。

特に、保険施術を中心にすると単価が低くなり、思うように利益が出ないこともあります。

保険メニューを取り入れる場合は、時給や原価コストを考えたうえで、料金を設定するようにしましょう。

鍼灸院の経営にかかる主な開業費・経費​

主な開業費​

鍼灸院を開業するには、200万~800万円ほどの初期費用がかかるといわれています。

この金額をすべて自己資金でまかなうのは簡単ではありません。

そこで活用したいのが、「助成金」や「補助金」です。

これらの制度をうまく活用すれば、開業時の負担を大きく軽減できます。

以下の記事にて詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

内装費​

院内のデザインにこだわるほど、内装費は高額になり、100万円単位で費用が増えていくこともしばしば。

目安として、コンビニと同じくらいの広さ(約20坪)で、内装費は700万円ほどかかるといわれています。

1坪あたりの費用は20~50万円ほどですが、選ぶ壁や床の素材によってはコストも上がります。

一方で、「見た目にはそこまでこだわらない」「できるだけ安く開業したい」という方は、鍼灸院の居抜き物件やレンタルサロンを探すのも一つの手です。

以下の記事ではレンタルサロンの開業について詳しく解説していますので、参考にしてください。

備品費

鍼灸院を開業する際、施術に必要な器具や道具が多く、準備が必要です。

  • 鍼や灸
  • 施術台
  • 消毒用機材
  • シーツタオル
  • 感染性廃棄物用のゴミ箱

とくに開業前では、大型の施術台や機械を導入する場合、頭金を支払うことがあるかもしれません。

必要な準備物について、以下の記事にて紹介していますので、ご参考にしてください。

広告費

鍼灸院を開業する前に、ホームページや予約受付サイトを準備しておく必要があります。

患者さんが必要な情報をすぐに確認できるように、早めに整えておきましょう。

もし、おしゃれで本格的なホームページを作りたい場合は、3カ月ほどかかると見込んでおきましょう。

その場合、費用は30万円前後かかると見積もっておきましょう

もし、コストを抑えて自分で作りたいという方には、無料のサイト制作ツールを使う方法もあります。

無料でホームページ制作できるサービス

開業後の主な経費​

家賃+広告費

家賃と広告費は開業後の経費の中でも大きな割合を占めます。

家賃と広告費を合わせて売上の15%程度を目安にすると良いでしょう。

立地は、通りすがりの人への広告の役割ももつため、家賃を広告費としてみなすようにしましょう。

また、広告費については、集客サイトへの掲載や広告の費用がかかりますが、Googleビジネスプロフィール(Googleマップ)やSNSなどの無料サービスを使うことで、支出を削減することができます。

水道光熱費

快適な院内にするには、照明や冷暖房がかかせません。

削ることが難しい部分でありますが、契約プランを見直すなどにより、抑えられるケースもあります。

鍼灸用品・顧客管理システム代

患者数が増えると、使用する施術器具やシステム料などにかかる費用も当然上がります。

しかし、コストを削りすぎると、サービスの質を落としかねません。

とくに、鍼やお灸などの場合、痛みや治療の質と再現性に直結するため、必要な部分としてお金をかけることが大切です。

一方、予約システムなどの顧客管理システムでは、サービスの質を落とさずコストを抑えることができます。

利用する幅に合わせてたサービス・料金プランに切り替えることで、数千円ものコスト削減をすることができます。

保険料​

折鍼や火傷、患者側からの言いがかりなど、思いもよらないトラブルは数多くあります。

そのため、損害賠償保険に加入しておくことで、万が一のトラブルに対する備えて保険に加入しなければなりません。

料金は年間10,000〜15,000円程度が目安です。

損害賠償保険について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

鍼灸院で成功するための方法とは​

1人鍼灸院で成功するためには、いくつかポイントがあります。

ここでは、いくつか紹介していきます。

集客に力を入れる​

安定した経営には、患者さんを引き寄せるための集客戦略が欠かせません。

大切なのは、単に新しい患者さんを呼ぶだけでなく、リピーターを増やすことです。

リピーターが増えれば、安定した売上に直結するだけでなく、広告費などのコスト削減にもつながります。

競合と差別化できるサービスや特徴を出すことで、リピーター獲得の第一歩を踏み出せます。

集客方法やリピート獲得方法について、詳細は以下の記事にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

安売りしない

鍼灸院の運営において、安売りは避けるべきです。

1回1万円以上の料金設定をしないと、経営が難しくなります。

雇われなら、安い料金でも長時間働けば収入を増やせますが、自分で経営する場合はそうはいきません。

働く時間が長くなると、お客さんを増やすための時間や、自分の生活の時間がなくなってしまいます。

むやみに営業日を増やすのではなく、料金を上げて、それに見合うサービスを提供することが大切です。

単なる施術のメニュー料金ではなく、「自分を選んでもらうための料金」と考えましょう。

お客さんが重視するのは、施術のメニューではなく「誰に施術してもらうか」です。

安くしすぎると、自分の価値が伝わりにくくなるので、自分の技術や経験に見合った料金設定にしましょう。

できるだけお金をかけない

開業したばかりの時期は、大きな失敗を避けることが何より大切です。

そのためにも、最初から多額の投資をするのではなく、できるだけお金をかけずに運営をスタートしましょう。

例えば、高額な内装や最新の設備にこだわるよりも、最低限の道具とシンプルな環境で始めるのがおすすめです。

必要になったものを、その都度そろえていくほうが無駄な出費を抑えられます。

開業時は「最小限の投資でスタートし、必要に応じて少しずつ整えていく」という意識を持つことで、リスクを減らしながら安定した経営につなげることができます。

まとめ

本記事では、1人鍼灸院の収入モデルや経費の目安を紹介し、成功するためのポイントを解説しました。

開業当初は、安売りを避けて適正な料金を設定し、できるだけ小さな初期費用でスタートすることが大切です。

今回紹介したポイントを押さえることで、安定した経営と収入を実現しやすくなりますので、ぜひ参考にしてください。

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