マンションで鍼灸院開業!注意点や物件探しのコツを解説!

鍼灸院のマンション開業は、費用を抑えながらスタートできる点から人気の選択肢と言えます。

ただし、マンションならではのメリット・デメリットがあるため、物件選びや契約内容など、特有の注意点をしっかり把握することが重要です。

そこで今回は、マンションで鍼灸院を開業する上でのメリット・デメリットについて紹介します。

また、マンションの探し方と注意点について解説します。

目次

マンションで開業するメリット・デメリット

メリット

開業資金と家賃が安く済む

通常、テナント物件では契約時に家賃の10~12カ月分の保証金が必要です。

また、内装工事費を含めると、200万~800万円もの初期費用がかかることも珍しくありません。

さらに、移転や廃業時には解体工事や退去費用が発生するため、追加のコストがかかる点もデメリットです。

一方、賃貸マンションを活用した場合、初期費用は大幅に抑えられます。

保証金や敷金は家賃の6カ月分程度が一般的で、家賃も10万円以内で済むケースが多いのが特徴です。
(※これに対し、テナント物件では家賃が20~30万円に達する場合が多い)。

さらに、マンション物件では内装工事が不要なことがほとんどです。

そのため、内装費用を節約し、浮いた資金をインテリアや機材の購入に充てることができます。

開業後の運転資金として6カ月~1年分を確保する目安は変わりませんが、マンション開業は資金が少ない方にとって魅力的だといえます。

立地の良い物件を選べる

都市部の賃貸マンションは物件数も豊富な上、予算内で好きなエリアで開業できる可能性が高まります。

ターゲット層や院のコンセプトにぴったりな物件を選んで開業できることが、マンションで開業する大きなメリットです。

たとえば、働く世代が多いエリアでは、仕事帰りに立ち寄りやすい立地やデザインが好まれるでしょう。

マンション開業は、ターゲットのニーズに合わせた立地やインテリアデザインによって、他院との差別化を図ることができ、リピーター獲得につながります。

プライベート空間の需要がある

テナント開業では、多くの集客数が求められるため、患者さん同士が顔を合わせることが多く、患者さんは他の患者さんと近い距離で施術を受けることになります。

その点、マンション開業では、人の目を気にせず、リラックスした状態で施術を受けられるという大きなメリットがあります。

女性や癒しをコンセプトとした院では、安心して相談できるためことから、特に需要があります。

また、鍼灸師としても、患者さんとの距離が近いため、患者さんに合わせた施術をしたい方には、適した環境だと言えるでしょう。

マンション開業を選ぶことで、「落ち着いて施術を受けれる場所」としてアピールすることができるでしょう。

デメリット

集客しづらい

マンションの一室で開業する場合、目立つ看板を出すことはできません。

そのため、オープンしただけでは鍼灸院の存在を知ってもらうのは難しく、気づかれないまま「隠れたお店」になってしまう可能性が高くなります。

マンション開業で成功するためには、ポスティングやネット集客(ホームページやGoogleマップなど)に力を入れることが必要不可欠です。

これらの方法を活用して、存在をしっかり認知してもらうことが大切です。

利用規約が多い

鍼灸院として利用できそうな物件が見つかっても、規約が多くて利用できない場合も少なくありません。

例えば、「すでに同業他社が入居しているため利用不可」「パーソナルジム併設NG」「不特定多数の人が出入りする場合はNG」「女性だけで営業する場合はNG」など、物件によっては不動産会社やオーナーから利用を断られることがあります。

物件を断られる理由としては、「業種の制限」や「騒音」「衛生環境」「風営法」など、さまざまな理由などが挙げられます。

無断でマンションを開業すると、契約違反による強制退去や損害賠償が求められるリスクがあります。

トラブルを避けるためにも、事前に不動産会社やオーナーに確認を取りましょう。

営業トラブルのリスクがある

マンション開業は、クレームやトラブルが発生しやすい環境と言えます。

利用規約の違反だけでなく、騒音トラブル、駐車スペースの無断利用、お灸のにおいなど、集合住宅ならではの事例があります。

こうしたトラブルが起こりやすいことを、開業前にしっかり理解しておくことが重要です。

開業可能なマンションの探し方

開業可能なマンション物件を見つけるには、意外と大変だった…というケースも珍しくありません。

そこでここでは、開業可能なマンション物件の探し方について解説します。

事務所(SOHO)可の賃貸物件を探す

マンション開業といっても、居住用として建築されたものもあるため、全てのマンションで開業できるわけではありません。

マンション開業ができるのは、「SOHO」と呼ばれる賃貸マンションになります。

SOHOとは、”Small Office Home Office” を略した言葉で、事務所や仕事場として使われる物件のことをいいます。

「事務所 SOHO マンション エリア名」などで検索すれば、たくさんの物件を見つけることができます。

都市部の場合、お店や仕事場として使われることを想定したデザインに仕上げられているタイプもあります。

好みのデザインであれば、内装費をかけることなく、そのまま使うことができるでしょう。

ただし、事務所(SOHO)可の賃貸物件であっても、鍼灸院として利用許可されない場合もあるので注意しましょう。

窓の大きさ・換気の有無に注意

鍼灸院を開業する場合、「構造設備基準」という基準にクリアする必要があります。

  • 6.6平方メートル以上の専用施術室を有すること。
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること。
  • 施術室は室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放できること。
    ただし、適当な換気装置があればよい。
  • 施術に用いる器具や手の消毒設備を有すること。
  • ベッドを2台以上設置する場合は、各々カーテン等で仕切り、患者のプライバシーに配慮すること。
    (各自治体の基準による)
  • 施術室と待合室の区画は、固定壁で上下左右完全に仕切られていること。
    (各自治体の基準による)

参照:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律

マンションの部屋によっては、換気となる窓の大きさが基準を下回るケースがあります。

ほかにも、施術室と待合室の2つのスペースがあることが求められるため、「構造設備基準」を満たす物件なのかメジャーなどで事前に測る必要があります。

消防法の基準にクリアしているのか確認する

消防法とは、火災の防止や消火設備などについて取り決められた法律です。

違反した場合には、以下の罰則が設けられているため、注意が必要です。

  • 消防局ホームページに公表される
  • 営業停止命令などの行政処分

そのため、その地域を管轄する消防署にお問い合わせし、始業の7日前までに「防火対象物使用開始届出書」を提出しましょう。

参照:消防法|条文|法令リード

マンション開業の注意点

家賃が課税対象になる

私生活で住んでいる分では、家賃は消費税が発生しません。

ただし、仕事場として、マンションの一室を使う場合、家賃に消費税がかかります。

支払いをしていないことが発覚すれば、不足している金額に加え、遅延金も支払わなければならないので、しっかりと確認しておきましょう。

予約管理システムを用意しておく

限られた時間枠内で患者さんを管理するため、予約の取りこぼしやダブルブッキングを防ぐための予約管理システムは必須です。

予約システムを導入すれば、施術中でも自動で予約を受け付けられるので、電話対応を気にせず、施術に専念できます。

また、最新の予約システムは、患者さんのデータを管理するだけでなく、リマインダーやメッセージ機能も搭載されており、患者さんの定期的な来院を促進し、リピーターの獲得にも繋がります。

セイリンの「鍼灸つながるカルテ」も、予約システムに加えて数多くの便利な機能が揃っています。

詳しくはこちらの記事にて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

マンション開業は、テナント開業に比べ、好きな立地を選びやすく、費用面も安い点が大きなメリットと言えます。

ただし、マンションならではの数多くのルールが存在する為、事前の確認が大切です。

開業後、トラブルが発生しないためにも、不動産会社・オーナーにしっかりと確認しておきましょう。

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