経営を見直すタイミングで、「LTV」という文字を見たことはあるのではないでしょうか?
とはいえ、「LTVについて、いまいち分からない…」「LTVの数字っていくつが理想なの?」「そもそもLTVが鍼灸院に必要なのか分からない」など、難しいと思い悩んでいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、LTVの基本からLTVを伸ばす方法までご紹介します。
また、鍼灸院における理想的なLTVの数値も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
LTV(Life Time Value)とは

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略であり、「顧客生涯価値」という意味です。
鍼灸院におけるLTVとは、一定期間内にて1人の患者さんが自院にもたらしてくれる合計売上を平均したものです。
たとえば、1年間の売上が1,000万円だったとします。
この1年間に来院した患者数が200名だとすると、LTVは次のように計算できます。
1,000万円÷200名=50,000円
つまり、1人の患者さんが1年間で5万円を支払っていることになります。

鍼灸院にLTVは必要?理想的な数字は?

経営の成功を考えるとき、多くの人が「月○○万円の売上達成!」といった大きな売上をイメージするかもしれません。
しかし、売上を増やすだけでは、安定した経営にはつながらず、成功とは言い難いです。
たとえば、高単価設定や新規患者の大量獲得に力を入れる方法がありますが、短期的には売上が上がるかもしれません。
しかし、その一方で、患者さんが支払えなくなったり、関係が続かないことも増え、結果的に売上が大きく落ち込むリスクがあります。
そこで大切なのは、リピーターを増やし、失客を防ぐことです。そのために役立つのが、「LTV(顧客生涯価値)」という考え方になります。
LTVを意識する経営では、患者さんが「また来院したい」と思ってもらえる仕組みを作ることを目指します。
これにより失客リスクを減らしながら、経営の安定性を高めることができます。
さらに、LTVは広告費とのバランスを考える上でも役立ちます。
たとえば、個人の鍼灸院では、理想的なLTVの目安は、患者1人あたり年間25,000円(月2,000円)と言われています。
LTVの数字を算出すれば、広告費を決めることができ、無駄な出費を抑え、赤字経営を防ぐことができます。
また、「1:5の法則」によれば、新規患者を集める費用は、既存患者を維持する費用の5倍もかかると言われています。
したがって、患者さんを定着化させることが、コストを抑えながら安定した収益を確保するためのポイントになります。
LTVを良くする方法5選

LTVを向上させるためには、患者さんにより多くの施術を受けてもらうことや、1回あたりの施術料金を上げることが重要です。
つまり、患者さんの「施術料金」や「来院頻度」を増やすことが、LTVを高めるためのポイントになります。
ここでは、LTVを高める具体的な方法について紹介します。
公式LINEアカウントを作る
LINEは日本国内で約9,700万人に利用され、全世代で90%以上の利用率を誇る※1※2、非常に身近なツールです。
そのため、LINEはメールやSNSと比べても開封率が高く、多くの人にリーチしやすい点が特徴です。
LINEの強みは、患者さんとの自然なコミュニケーションを通じて「来院したい!」という気持ちを引き出せる点にあります。
一方的に情報を送りつけるのではなく、対話を重視したやり取りで信頼関係を築きやすいのがポイントです。
LINE公式アカウントには、LTV(顧客生涯価値)アップに直結する機能が豊富に備わっています。
たとえば、患者さんに合わせたパーソナライズメッセージの配信機能やクーポン、アンケートなどがあります。
LINE公式アカウントを活用して友だちを増やしたり、コミュニケーションができている鍼灸院では、収益アップやリピーターの囲い込みに成功しているでしょう。
こうした取り組みは、ライバル院との差別化にもつながり、集患力を高める効果があります。
参考:【公式】LINE広告-9,700万人に届く|LINEヤフー for Business
引用:soumu.go.jp/main_content/000887659.pdf
既存患者のロイヤリティを高める
患者ロイヤリティは、一般的な患者満足度とは異なります。
接遇や施術、効果に満足している点では同じですが、患者満足度は一時的な満足に留まる場合があります。
そのため、もし他の院や店舗の方が良いと思われると、そちらに流れてしまう可能性があるのです。
一方で、患者ロイヤリティとは、「ここでなければ満足できない」と感じてもらい、長期的に利用し続けてもらうことを指します。
接客や施術、効果だけでなく、先生自身への愛着や信頼が深いため、他の院や店舗に流れることなく、長く通い続けてくれる傾向があります。
このロイヤリティを高めるには、患者さんに「自分は大切にされている」と感じてもらうことがポイントです。
たとえば、次のような取り組みが考えられます。
- 定期的に来院している患者さんに、誕生日月に無料のオプションサービスを提供する
- 一定金額以上の施術を受けた患者さんに、割引特典を提供する
こうした特典では、患者さん一人ひとりの症状や好みに合わせた特典を提供することが大切です。
たとえば、肩こりに悩む患者さんには、おすすめグッズやセルフケア方法を紹介したり、美容患者さんには、肌質に合った化粧品の無料体験・サンプルを提供したりする方法が考えられます。
このような工夫をすることで、「この先生は私のことを理解している」と患者さんに感じてもらえます。
それが、患者ロイヤリティを高め、長期的な信頼関係を築くことにつながります。
ハガキを送る
LTVを高めるには、継続的に来院してもらえるようにしなければなりません。
しかし、多くの場合、患者さんは鍼灸院の存在を忘れてしまい、初回で終わってしまうケースも多いのが現実です。
そんな中で、患者さんに再来院を促す方法として、ハガキは効果的な方法の1つです。
ハガキはDMやメールと違い、開封の手間がなく、誰もが自宅のポストを確認するため、手に取って見られるメリットがあります。
さらに、内容が一目でわかるため、伝えたい情報を瞬時に届けることができます。
手書きのメッセージを添えることで、温かみが加わり、「自分のことを気にかけてくれている」と患者さんに感じてもらいやすくなります。
たとえば、以下のようなメッセージが効果的です。
- 腰痛がひどいとのことでしたが、その後いかがでしょうか?今なら腰痛改善の特別メニューをご用意していますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください。
- 疲労が取れないとのことでしたが、体調はいかがですか?疲労に良いメニュー・特典を無料でご用意してお待ちしています!
- 定期的に検診で○○の症状を改善しやすくなります。お体をスッキリ整えるためにも、ぜひいらしてくださいね。
患者さんに「自分のことを覚えてくれている」と感じてもらうことが大切です。
趣味や家族の話など、過去の会話を思い出してメッセージに取り入れるのも効果的です。
もしメッセージの内容が思い浮かばない場合は、カルテを確認しましょう。
カルテには、これまでの施術履歴やメンテナンスの間隔、症状の原因として考えられる生活習慣などが記録されています。
これらを参考に、患者さんに合わせた具体的なメッセージを作成しましょう。
こうした工夫あるハガキは、患者さんが「また来院しないとな」と思うきっかけになります。
気軽に来院してもらえるよう、患者さんに寄り添ったメッセージを心がけましょう。
治療計画を伝える
患者さんに継続的に来院してもらい、LTVを高めるためには、治療計画をしっかりと伝えることが重要です。
まず、患者さんが自分の状態を理解できるように、症状の原因や体への負担を分かりやすく説明することが大切です。
これにより、患者さんは治療の目的や必要性を納得しやすくなります。
次に、「治療がいつまでに終わるのか」「どのような考えで治療を進めているのか」を伝え、その人に合った治療計画を提案することで、来院のモチベーションが高まります。
また、話すときは、専門用語は避けたり、模型やイラストを活用することで、理解度がさらに深まります。
説明後は、治療計画をまとめた紙やデジタル記録を患者さんに渡すと、後で確認しやすく便利に感じてもらえます。
さらに「一緒に治していきましょう」といった前向きな言葉を添えることで、信頼関係が一層深まるでしょう。
治療計画を伝える際には、これらの工夫を取り入れ、患者さんに安心感と納得感を提供しましょう。
セルフケア方法や生活改善アドバイスをする
LTVを高めるためには、施術現場だけでなく、患者さんの日常生活にも積極的にかかわることが重要です。
その1つとして、セルフケア方法やアドバイスを提供することは、効果的といえます。
治療後にセルフケア指導を行うことで、患者さんは治療効果を維持し、さらには向上させることができます。
たとえば、簡単なストレッチや姿勢改善、食べ物など生活に取り入れやすい方法を伝えると良いでしょう。
これらを続けることで、症状の変化だけでなく、治療を受けるタイミングなど重要なサインも把握しやすくなります。
これにより、患者さんは信頼を寄せてリピートしやすくなり、紹介による新規患者の獲得にもつながります。
セルフケア指導や生活改善アドバイスを取り入れることで、患者さんは効果を実感しやすくなり、その結果、鍼灸院のLTV向上に直結することが期待できます。
LTVを管理するには、予約管理システムの導入がおすすめ

LTV(顧客生涯価値)を管理するのは、鍼灸院経営においてとても重要ですが、忙しい日常業務のなかで定期的に計算するのは大変です。
そんな時に役立つのが予約管理システムです。
予約管理システムのなかには、売上や来院数の情報と連携し、LTVを自動算出する機能が備わっています。
さらに、多くのシステムには、患者さんをリピーターにするための機能が豊富に搭載されています。
メッセージ配信や施術後のアンケートなど、LTVアップに必要な機能を使うことができます。
予約管理システムを使うことで、1度に時間と労力を削減しながら、安定した売上経営を実現することができます。
セイリン(株)でも、予約管理システムを搭載した「鍼灸つながるカルテ®」をリリースしています。
予約システムと連携し、別途、経営レポートとしてLTVを確認することができます。
そのため、鍼灸院の経営課題をほとんどカバーできるでしょう。
詳しい情報は、以下のサイトを参考にしてください。

【鍼灸専用の電子サービス】
業務に追われて困っていませんか?
鍼灸つながるカルテ®︎なら、手作業だった負担をまとめて自動化!
- 鍼灸経営に必要なものを揃えたい
- 面倒な紙の管理をなくしたい
- 予約の管理をラクにしたい
- 売上をもっと上げたい
- ムダな業務や手作業を効率化してなくしたい
まとめ
LTVは、患者さんとの信頼関係を深め、安定した収益を生み出すために欠かせない指標です。
LTVを管理することで、リピーターを増やし、失客を防ぐことで、効率的でムダのない経営が実現できます。
さらに、予約管理システムを使えば、LTVを簡単に把握できるだけでなく、効果的な改善策をスムーズに実行できるでしょう。
短期的な売上ではなく、長期的な安定を目指すために、LTVを意識した経営に挑戦してみましょう。
この記事を参考に、LTVを意識した取り組みを始めてみてください。