自宅で鍼灸院を開業するには?手続き・内装・集客のポイントを解説

「自宅で鍼灸院を開業してみたい」と思いながらも、「何から手をつければいいのかわからない」とお悩みではないですか?

費用や手続き、環境づくり、そして集客など考えることはたくさんありますよね。

そこで本記事では、鍼灸院を自宅開業するメリットやデメリット、必要な費用や設備、施術スペースの工夫などを詳しく解説します。

目次

自宅で鍼灸院を開業するメリット・デメリット

「もっと自由に働きたい」「開業コストを抑えたい」と考える鍼灸師の方にとって、自宅開業は魅力的な選択肢です。ただし、自宅開業ならではの課題もあります。

ここでは、鍼灸院を自宅で開業するメリットとデメリットを解説します。

メリット

まず、自宅で開業するメリットは以下の3つです。

自宅で開業するメリット

  1. 初期費用を抑えられる
  2. 家事育児と両立しやすい
  3. 自由な働き方が可能

メリット1.初期費用を抑えられる

自宅で鍼灸院を開業すると、店舗を借りる際にかかる賃料や敷金・礼金、内装工事などの初期費用を大幅に削減できます。

また、月々にかかる費用も抑えられるため、費用面で不安を感じている方にはリスクの少ない選択肢といえます。

メリット2.家事育児と両立しやすい

自宅開業は、通勤時間がない分、家事や育児と両立しやすくなります。

特に小さいお子様がいる家庭では、仕事の合間に子どもの世話をしたり、家事をこなしたりすることができます。

家族との時間を大切にしながら働きたい鍼灸師の方には大きなメリットになるでしょう。

メリット3.自由な働き方が可能

仕事の時間や休憩時間を自分で決められるのも自宅開業の大きな魅力です。

通勤の必要がないため、時間をムダにせず自分のペースで働けます。

ストレスが少ない環境で施術に集中できることは、鍼灸師としてのやりがいにもつながります。

デメリット

続いて、デメリットについて見ていきます。自宅開業のデメリットは以下の3つが挙げられます。

自宅で開業するデメリット

  1. 生活感が出やすい
  2. 個人情報が公開されやすい
  3. 集客が難しい

デメリット1.生活感が出やすい

自宅の一部を施術スペースにすると、生活感が患者さんに伝わることがあります。

特に、施術スペースが家族の生活エリアと近い場合は注意が必要です。

患者さんが安心してリラックスできるように、部屋を清潔に保ち、鍼灸院らしいインテリアや照明に工夫を凝らすことがポイントです。

施術スペースの工夫については後ほど説明します。

デメリット2.個人情報が知られやすい

自宅開業では住所を公開する必要があるため、プライバシーが守りにくいというリスクがあります。

家族や生活のことが心配な場合、自宅住所をウェブサイトに明記せず、予約時に伝えるなど工夫が必要です。

自宅開業における情報発信には、慎重さが求められます。

必要に応じて、セキュリティ対策もしっかり考えておきましょう。

デメリット3.集客が難しい

自宅で開業した鍼灸院は、テナントのような目立つ看板を出しにくく、通りがかりの方からの集客は期待できません。

そのため、チラシやWeb広告、SNSなどを活用した集客が重要です。

また、患者さんからの口コミや紹介を通じて信頼を積み重ねることが、リピートにつながる鍵となります。

自宅で鍼灸院を開業する際の注意点

メリット・ デメリットを理解したうえで、自宅で鍼灸院を開業する際には、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、開業前に確認しておきたい注意点を整理しました。

施術スペースの設備構造規定を守らなければならない

自宅を鍼灸院として使用する際、地域の保健所や行政からの許可を得るためには、室内面積や換気などの規定を守る必要があります。

たとえば、東京の保健所の場合は以下の通りです。

チェックされる設備構造基準(東京の保健所の場合)
  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること
  • 施術に用いる器具、手指などの消毒設備を有すること

参照元:施術所の構造設備基準等について 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)

地域の保健所によって基準が異なるため、事前に管轄の保健所で確認しておきましょう。

家族からの理解

自宅開業の場合、プライベートのエリアに患者さんが訪れることになります。

家族にもそのことを理解してもらい、生活エリアと施術スペースの区別をしっかりと分けることが大切です。

家族の協力を得ることで、日常生活と仕事をうまく両立させやすくなり、トラブルを防ぐことにつながります。

コンセントの数と位置を考慮する

施術スタイルによってはさまざまな機器や電気を使うため、コンセントの数や位置を事前に確認しておくことが大切です。

コンセントが足りないと延長コードを使うことになり、コードが足にひっかかるなどの危険があります。

また、コンセントの位置によっては、施術ベッドの配置や動線が制限されるため、レイアウトに工夫が必要になります。

鍼灸院の自宅開業に必要な初期費用と設備

自宅で鍼灸院を開業する際に必要な初期費用の目安は、おおよそ10万〜30万円程度です。

ただし、内装工事や治療機器を導入する場合、さらに費用がかかることがあります。

最低限、準備すべき設備は以下の通りです。

  • 治療用ベッド、枕
  • 鍼灸道具
  • 消耗品(消毒液、綿花、手袋、タオルなど)
  • 白衣、施術着、スリッパ
  • 名刺
  • 施術スペースを区切るための仕切り
  • 治療ワゴンやスツール
  • カルテ
  • 事務用品
  • レジやWi-Fiなどの機器

自宅開業の場合、限られたスペースをうまく使うために、必要なものだけを揃え、施術の流れを考えて配置することが大切です

最初から無理に高い機器や設備を買わず、最低限のものから始めるのも良いでしょう。

鍼灸院の自宅開業に役立つ施術スペースの工夫

自宅で鍼灸院を開業する際は、患者さんがリラックスして施術を受けられる環境づくりが重要です。

ここでは、施術スペースを整えるためのポイントをご紹介します。

玄関から施術スペースまでの動線を確保する

患者さんがスムーズに施術スペースへ行けるように、動線を意識した配置を心がけましょう。

玄関から施術スペースまでの廊下には、荷物や家具を置かないようにしたり、段差がある場合は注意書きを表示したりするなど、安全面への配慮も必要です。

また、玄関には靴べらや消毒スタンドを置くと、衛生面への気遣いが伝わり、患者さんに安心感を与えられます。

仕切りなどで生活感を隠す

自宅で開業する場合、患者さんにプライベートエリアが見えないよう配慮が必要です。

パーテーションやカーテンを活用し、生活感を感じさせない工夫をしましょう。

家具や装飾の色を統一して清潔感を出し、施術スペースの内装は落ち着いた色調でリラックスできる雰囲気をつくるのがおすすめです。

患者さんから見える場所にプライベートな物が置かれていないか確認し、リラックスできる環境を整えましょう。

音や匂いに対策を行う

自宅ならではの生活音や匂いが患者さんのリラックスを妨げることがあります。

家族の声や音が気になる場合は、防音カーテンや音漏れがしにくいドアを導入することを検討しましょう。

また、施術スペースには消臭剤やアロマディフューザーを設置して、心地よい香りを漂わせるのも効果的です。

こうした工夫で、患者さんが安心して過ごせる気持ちのいい空間をつくりましょう。

鍼灸院の自宅開業に必要な手続き

自宅で鍼灸院を開業するには、保健所や税務署への手続きが必要です。以下の流れに沿って進めていきましょう。

1. 保健所への事前確認

開業する施術所が地域の「構造設備基準」を満たしているか確認するため、まずは保健所に相談します。

例:設備構造基準(東京都の場合)
  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること
  • 施術に用いる器具、手指などの消毒設備を有すること

参照元:施術所の構造設備基準等について 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)

事前確認を受けておくと、開業の申請がスムーズに進みます。

2. 保健所への書類提出

開業後10日以内に「施術所開設届」を管轄の保健所に提出します。

持ち物リスト
  • 施術所開設届
  • 鍼灸師免許証
  • 平面図
  • 本人確認書類
  • 印鑑など

「施術所開設届」は各自治体のホームページからダウンロードできます。

書類に不備がないよう、事前に保健所に相談すると安心です。

3. 税務署への開業届提出

事業開始から1カ月以内に、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します。

これに加え、青色申告承認申請書」も出しておくと、支払う税金が安くなったり、購入した備品が経費で落とせるメリットがあります。

書類は税務署または国税庁のホームページから入手可能です。不明点は税務署に問い合わせると、丁寧に案内してもらえます。

自宅鍼灸院に効果的な集客方法

最後に、鍼灸院を自宅開業した際に効果的な集客方法をいくつか簡単にご紹介します。

なお、「鍼灸院の効果的な集客方法6選!」では、集客方法についてさらに詳しく解説しています。

ぜひ合わせてご覧ください。

1. チラシ・ポスティング

地域の人々に直接アプローチできる方法で、デザインや割引クーポンを工夫すれば、関心を引きやすくなります。

2. ホームページ制作

スマホ検索される昨今、自院のホームページは患者さんにとって重要な情報源です。

施術内容や料金、院内の雰囲気を写真で紹介し、信頼感を与えることで集客につながります。

無料で簡単に作成できるサービスもあるので活用しましょう。

ホームページ作成サービス(無料)

3. ポータルサイト

ポータルサイトに自院情報を掲載すると、検索上位に表示されやすくなり、地域の患者さんに知ってもらいやすくなります。

集客効果が期待でき、非常に有効な手段となるでしょう。

ポータルサイト(無料)

4. Googleビジネスプロフィール

Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップに自院のプロフィールを掲載できる無料サービスです。

「地域名+症状」「地域名+診療内容」と検索された際に目に留まりやすく、新規顧客獲得につながりやすくなります。

5. 看板・ポスター

自宅の敷地内であれば、看板やポスターを設置して院の存在を広めることができます。

目立つ場所に設置し、「メニュー」「料金」「電話番号」など簡潔な情報を載せましょう。

ただし、『初回無料』『割引』『腰痛専門』など、患者さんを過剰に誘引する表現は禁止されていますので、注意が必要です。

看板やポスターを設置する際は、事前に管轄の保健所に確認することをおすすめします。

6. SNS活用

SNSで施術風景や患者さんの声をシェアし、院の雰囲気や信頼感を伝えられます。

また、SNSを通じて患者さんと直接コミュニケーションを取ることで、リピーター獲得につながります。

まとめ

本記事では、鍼灸院を自宅開業するメリットやデメリット、必要な費用や設備、施術スペースの工夫などについて解説しました。

自宅開業のメリットとして、初期費用の節約や自由な働き方が挙げられますが、生活感やプライバシーの公開に対する配慮が必要です。

患者さんがリラックスして施術を受けられるような環境づくりも大切なポイントです。

自宅で鍼灸院を開業するか悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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