業務委託で鍼灸師を雇う!契約のメリットと注意点を徹底解説

鍼灸師を採用したいけど、正社員やパートではなくもっと柔軟な雇用形態を探している…。

そんな方に注目されているのが「業務委託」です。

しかし、業務委託は雇用形態とは異なる点が多いため、導入したくても事前の知識がないと不安ですよね。

本記事では、鍼灸師を業務委託で雇う際のメリット・デメリットや業務委託で鍼灸師を採用する方法、注意点について詳しく解説します。

鍼灸師の業務委託をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

目次

鍼灸師を業務委託で雇うメリットとデメリット

そもそも業務委託とは、特定の業務を外部の事業者や個人に委託する契約形態です。

鍼灸院においても施術業務や訪問施術などで活用されるケースが増えています。

即戦力として施術業務を任せられることや、経営コストの削減につながる点が大きな魅力です。

一方で、雇用契約とは異なるため、管理方法や責任範囲に注意が必要です。

今回は、鍼灸師を業務委託で雇う際の具体的なメリットとデメリットを詳しく解説します。

メリット

まずは、メリットを以下3つ紹介します。

  1. 即戦力として施術をすぐに任せられる
  2. 人件費や社会保険料など経営コストの削減につながる
  3. 他の業務に専念できる

メリット1. 即戦力として施術をすぐに任せられる

業務委託では、経験豊富な鍼灸師を即戦力として採用できるため、短期間で施術業務を開始できます。

正社員やパートを採用する場合、応募から採用・研修・現場投入まで時間とコストがかかります。

一方、業務委託なら、必要なスキルや経験を持つ鍼灸師を選ぶことで、契約後すぐに鍼灸師として働いてもらえます。

メリット2. 人件費や社会保険料など経営コストの削減につながる

正社員やパートを雇用する場合、給与のほかに雇用保険、社会保険、福利厚生、研修費用など多くのコストが発生します。

一方、業務委託の場合はこれらの費用が不要で、実際に依頼した業務分の報酬だけを支払えばよいため、運営コストの削減につながります。

患者数が不安定な時期には、必要に応じて契約内容を調整することで、余計な支出を避けることができます。

メリット3. 他の業務に専念できる

鍼灸院の運営には、施術だけでなく予約管理やカルテ整理、広報活動、経理処理などさまざまな業務があります。

施術業務を委託することで、経営者や鍼灸師がこれらの業務にリソースを割けるようになります。

特に一人鍼灸院の場合、数多くの業務を一人でこなさなければなりません。

そのため、忙しくなると、患者対応の質が下がったり、集客や経営戦略に時間を割けなくなることがよくあります。

そんなとき、施術の一部を業務委託することで、業務に余裕が生まれ、経営の安定化にもつながります。

デメリット

続いてデメリットについて説明します。

  1. 労務管理が複雑になる
  2. 鍼灸師によって治療方針や施術スタイルが異なるので統一が難しい
  3. 院内のチームワークが築きにくい

デメリット1. 労務管理が複雑になる

業務委託契約は、雇用契約とは異なるため労務管理が複雑になりがちです。

なぜなら、業務委託は独立した事業主として契約を結ぶため、勤務時間や仕事の進め方など指示の範囲に制限があるからです。

過剰な指示をすると、雇用契約とみなされるリスクがあり、労働基準法に違反する可能性があります。

また、契約解除やトラブル発生時に対応が難しくなるケースも考えられます。

例えば、急なシフト変更をお願いしても、契約外の内容として断られる場合があるということです。

こうした状況を避けるには、最初の契約で勤務条件や業務範囲を明確に決めておく必要があります。

契約時のポイントは後ほど説明します。

デメリット2. 鍼灸師によって治療方針や施術スタイルが異なるので統一が難しい

業務委託で雇った鍼灸師は、それぞれ異なる治療方針や施術スタイルを持っているため、院全体の施術スタイルを統一するのが難しくなる場合があります。

例えば、委託した鍼灸師が得意な治療法で、他のスタッフと違うアプローチを行った場合、患者さんは”治療方針のぶれ”や”施術のバラつき”を感じてしまい、満足度が低下するリスクがあります。

そのため、業務委託をする際は、最低限の治療方針を共有し、必要に応じて施術スタイルに一定の統一感を持たせる工夫が求められます。

デメリット3. 院内のチームワークが築きにくい

業務委託で雇った鍼灸師は独立した立場で働くため、院内スタッフとの連携が難しくなります。

また、契約内容によっては、院内ミーティングや情報共有に参加しない場合があります。

その結果、コミュニケーション不足に陥り、施術や業務の連携がうまくいかなくなるリスクがあります。

そのため、業務委託契約であっても、定期的なミーティングを通じて情報を共有し、一定のチームワークを保つことが大切です。

業務委託で鍼灸師を採用する方法

業務委託のメリット・デメリットを理解したうえで、「信頼できる鍼灸師を業務委託で雇いたい!でもどうすればいいの…?」

そんな方に向けて、ここからは業務委託で鍼灸師を採用する具体的な方法と、求人情報に記載すべき項目について解説します。

採用方法

採用方法には以下の活用が挙げられます。

  • 求人サイト
  • リファラル
  • 自社サイト
  • 人材紹介サービス

求人サイト

業界特化型の求人サイトを活用することで、鍼灸師の応募者をピンポイントで募ることができます。

知名度の高い求人サイトには多くの登録者がいるため、条件に合った応募者を見つけやすいメリットがあります。

条件を細かく記載することで、即戦力となる人材を見つけやすくなるでしょう。

ただし、掲載には手数料がかかる場合があるため、費用対効果を考慮する必要があります。

鍼灸師の求人サイト例

リファラル

リファラルとは、自院の従業員や知人から信頼できる鍼灸師を紹介してもらう方法です。

リファラルは、紹介者が応募者のスキルや人柄を事前に把握しているため、採用後のミスマッチが少ない点がメリットです。

また、求人サイトや広告を利用しない分、採用コストを抑えられるのも魅力的です。

ただし、紹介の頻度を活発にするために、紹介料の支給などの工夫が必要です。

自社サイト

自社サイトに求人ページを作成すれば、掲載内容や文言を自由に設定できるため、自院の治療方針や特色、魅力を効果的にアピールできます。

また、外部のサービスを利用しないため、採用コストも抑えられます。

ただし、サイト自体のアクセス数や知名度が低い場合は、採用ページを閲覧してもらえる可能性が低く、応募が来るまでに時間がかかるかもしれません。

人材紹介サービス

人材紹介サービスは、ネット上で直接マッチングする求人サイトとはタイプが異なります。

人材紹介サービスは、経験豊富なコンサルタントが自院のニーズを詳しくヒアリングし、条件に合った候補者を選んで紹介してくれます。

これにより、たくさんの応募者の中から理想の人材を探す手間を省け、ミスマッチを減らすことにつながります。

さらに、面談のセッティングや契約手続きのサポートもしてくれるサービスを選べば、採用業務全体がスムーズに進みます。

ただし、費用についての事前リサーチも忘れないようにしましょう。

求人に記載すべき項目

業務委託契約は雇用契約とは異なり、働き方や報酬を柔軟に変えることができます。

しかし一方で、求めるスキルや条件を具体的に伝えなければ、応募者とのミスマッチが起こりやすくなります。

特に施術スタイルや報酬体系など、鍼灸院特有の要件を明確にしておくことが重要です。

最低限、以下の項目を明確に記載しましょう。

■報酬

完全歩合制(施術1件あたり〇円)や固定報酬+歩合など詳しく記載します。

「1日〇人施術した場合の想定月収」など、具体的なイメージを提示することで応募者の安心感につながります。

■勤務時間

希望する稼働時間(例:平日午後や土日対応可能な方)を補足することで条件に合った人材が集まりやすくなります。

■勤務地

自院内での施術であれば住所やアクセス情報、訪問鍼灸の場合は対応エリアも明記しましょう。

■業務内容

施術内容(例:慢性痛治療、スポーツ障害ケア、美容鍼灸)や必要な資格・スキル(例:訪問経験者優遇)を詳細に記載します。

■福利厚生

交通費補助、ユニフォーム貸与、研修機会の提供などの福利厚生があれば、応募者の興味を引きやすくなります。

こうした具体的な情報を求人に含めることで、自院の方針に合った即戦力を効率よく採用できるだけでなく、応募者に「ここで働きたい」と感じてもらえる内容になります。

業務委託を導入する際の注意点

業務委託を導入する際は、できるだけリスクやトラブルを回避したいですよね。

ここでは、採用時と契約時に注意すべきポイントを紹介します。

採用時の注意点

  1. 人材要件を明確にする
  2. 業務内容や条件を詳細に記載する
  3. 応募者に費用負担を課さない

これらを踏まえることで、トラブルを防ぎ、円滑に業務委託を進めることにつながります。

1. 人材要件を明確にする

業務委託で鍼灸師を採用する際、最も重要なのは「求める人材像」を明確にすることです。

求人を出す前に、施術スキルや経験年数、患者とのコミュニケーション能力など、求める人物像を具体的に定めておくことで、ミスマッチを防ぎ、適切な人材を確保しやすくなります。

たとえば、特定の施術方法に習熟していることや、特定の患者層に対する対応経験があることを求める場合は、その要件を明記することが必要です。

2.業務内容や条件を詳細に記載する

業務委託の場合、雇用契約とは異なり、勤務時間や勤務地が自由であることが多いです。

そのため、採用時には業務内容を詳しく説明しなければいけません。

例えば、1日に担当する患者数や施術の時間、報酬体系(歩合制など)、業務委託としての柔軟な働き方などを求人情報に記載し、応募者にとってどのような業務が期待されるのかを明確にします。

これにより、お互いの期待がズレにくく、契約後のトラブルを減らすことができます。

3.応募者に費用負担を課さない

業務委託であっても、応募者に費用負担を課すような条件(研修費用や道具購入など)を求めてはいけません。

これに該当する求人情報は、法律に抵触する可能性があるため、費用負担が発生しないように注意しましょう。

契約時の注意点

業務委託契約を締結する際には、契約書の内容をしっかり確認することが重要です。

契約書には以下の項目が具体的かつ明確に記載されている必要があります。

  • 業務内容: 委託する業務の範囲と責任を正確に特定
  • 契約期間: 開始日と終了日、または自動更新の有無
  • 契約解除条件: 中途解約や解除条件を具体的に記載
  • 報酬と支払条件: 金額、計算方法、支払時期、方法を明記
  • 秘密保持条項: 業務上知り得た情報の取扱いを規定
  • 報告義務:報告義務の内容を明確化
  • 禁止事項: 再委託の可否、情報漏洩などのリスク回避
  • 損害賠償や知的財産権: 責任や権利の範囲を明確化

特に注意したいのは、報酬の支払条件と契約解除の要件です。

報酬については、施術後に支払われるのか、月額なのか、または成果報酬制なのかをはっきりさせることが大切です。曖昧な条件では、後々支払いトラブルの原因になります。

また、解除要件も抽象的ではなく、どのような場合に解除が可能かを具体的に決めておきましょう。契約解除後もお互いが納得できる形にしておくことが重要です。

契約内容が実際の施術業務に適しているかを確認し、不明な点や不安があれば、締結前に鍼灸師としっかり話し合うことがトラブルを防ぐ第一歩です。

特に鍼灸院の業務では、信頼関係が非常に大切です。明確な契約を通じて、お互いの協力関係を築くための基盤をつくりましょう。

その他、法律について確認したい場合は、公正取引委員会が発行している「フリーランス・事業者間 取引適正化等法(令和6年11月1日)」をご確認ください。

まとめ

業務委託で鍼灸師を雇うメリットは、即戦力として施術を任せられ、人件費削減や他業務への専念が可能になる点です。

一方、デメリットとして、労務管理の複雑化や施術スタイルの不統一、チームワークの課題が挙げられます。

トラブルを最小限に抑えるためには、採用活動の段階で条件を明確にし、契約時には業務範囲や報酬条件をすり合わせ明確に記載することが重要です。

「鍼灸師を業務委託で雇いたい」という方は、ぜひ本記事のポイントを押さえて導入を検討してみてください。

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