鍼灸師にとって、「リピーター患者を増やす」ことは悩みの1つですよね。
安定した経営には、リピーターの獲得が必要不可欠と言えるでしょう。
そうはいっても既に来なくなった患者さんに、リピーターしなかった理由を聞けない以上、
なかなか改善は難しいのが現状です。
そこで今回は、患者さんがリピートしなくなる理由から、その理由を知る方法、リピーターを増やすコツと成功事例を紹介します。
患者さんがリピートしない5つの原因とは?
患者さんが「鍼灸院をリピートしない理由・原因」は、おもに以下の5つが挙げられます
- 満足のいく治療ではなかったから
- 鍼灸院の存在を忘れてしまっているから
- 接客態度に不満を感じたから
- 他と比べて選ぶ理由がなかったから
- 清潔感がなかったから
実際に、患者さんが離れていくときには、何も言わずに静かに去ることが多いのではないでしょうか?
こうした患者さんは「サイレントカスタマー」と呼ばれ、顧客のおよそ7割も占めることから、決して無視できるものではありません。
「いつの間にか、ぜんぜん患者さんが来ない…」となる前に、離れていく原因を突き止めて早めの対策をしましょう。
※参照:サイレントカスタマーの定義や割合とは?3つのリスクと対策方法を解説 – NPSソリューション | NTTコム オンライン (nttcoms.com)
満足のいく治療ではなかったから
満足のいく治療でなければ、患者さんがリピートしてくれる見込みはないでしょう。
「施術を受けたのに、症状が改善されない」「逆に体調が悪化してしまった」となると、患者さんは疑問を抱き、また来院する意欲を失ってしまいます。
- 効果をあまり感じなかった
- 何度受けても、体調が悪化していくばかり
- 症状の真の原因がわかっていなかった
- 施術内容が薄かった
- 思っていたより、施術時間が短かった
患者さんは「期待通りではない」と思っても、その場で鍼灸師に言わないことがほとんどです。
「患者さんのニーズに合わせた施術内容の見直し」や「求められるレベルの知識と技術力」を身につけることで、患者満足度は高まります。
鍼灸院の存在を忘れてしまっているから
患者さんがリピートしない理由として、「単に鍼灸院のことを忘れている」ことが考えられます。
自院のリピーター患者が低いと感じたときに、ほとんどの鍼灸師は、スキル不足や接し方が悪かったのかなと考え込むでしょう。
しかし、たとえ満足のいく治療サービスであったとしても、次に行こうとしたときに、頭に思い浮かばなかったというケースは非常に多いです。
この原因を理解し、「思い出させる」方法を取ることで、成功している鍼灸院はリピーター患者を獲得しています。
鍼灸院の存在を思い出してもらうためにも、メルマガやSNS、LINEなど、患者さんとの触れ合う機会を増やしていきましょう。
接客態度に不満を感じたから
患者さんは、鍼灸師の治療スキルだけで選んでいるわけではありません。
どのような接客を受けるかも気にしています。
接客に問題があれば、致命的に信頼を失います。
- 先生の愛想が悪かった
- 待ち時間が長かった
- 受付の対応がよくなかった
- 説明が不十分で、話がちゃんとできていなかった
- 流れ作業みたいだった
- 女性への配慮がまったくなかった
いまでは、ほとんどの人が、インターネットやGoogleマップの「評判・口コミ」を利用しています。
接客の悪さが口コミで広がると、リピート獲得だけでなく、新規集客にもダメージとなります。
「また行きたい!」と思われるような接客を心がけましょう。
他と比べて選ぶ理由がなかったから
「べつに悪くなかったけど、また行かなくてもいいかな」と思い、リピートしない患者さんは多いです。
対策として、このタイプの患者さんに選ばれるためには、「○○ならば、ココだな」という印象を与えることが重要です。
ただし、患者さんが求めるニーズにマッチしたアピールをしなければ、印象を与えることは難しいです。
印象を与える強みやウリが見つけ出せないときには、以下を参考にしてみてください。
- (症状・施術)専門の治療家です
- (症状・施術の)実績が豊富です
- ○○の技術に高い評判があります
- 当院にしかない最新の治療マシン、エステマシンがあります
- ○○エリアで一番の駅近で通いやすい治療院
- プライベート空間で、アロマと心地よい施術を過ごせます
- 厳選された材料(オーガニック、日本製など)のみ使用しています
また、リピーターさんにヒアリングをすることで、自院の強みやウリを知ることができるでしょう。
患者さんから「○○なら、この鍼灸院が1番」と印象を持たれるように、自院の魅力をアピールしましょう。
清潔感がなかったから
初めて鍼灸院を訪れる患者さんにとって、清潔感は重要視されます。
安心して身を任せて施術を受けることができるのか判断するために、患者さんは「減点方式」でチェックしています。
モノが整理されてなかったり、不潔であると、それだけで次の来院を嫌がります。
患者さんが目にするものすべてキレイにすることで「清潔感」を演出しましょう。
ほかにも、院内のにおいやスタッフの服装・髪型・口臭ケアまで、しっかり心がけましょう。
口コミ分析で、リピートされなかった理由を掴む
患者さんが離れた原因を探るには、「口コミは、絶好の情報源」です。
患者さんが不満に感じたとき、リピートしない理由を口コミに書くことがよくあります。
この口コミを分析することで、施術や対応の改善点を特定し、リピート率をすぐに上げることができます。
たとえば、「治療後、痛みがすぐに戻った」という場合、施術方法の見直しやアフターケアを手厚くすることでリピーターに繋げることができるでしょう。
さらに、ライバル院と自院の口コミを見比べることで、独自の差別化戦略が見つかり、新たな集客にも役立つでしょう。
リピーター患者を増やす5つの方法
治療の見通し・的確な提案をする
患者さんへの説明があいまいだと、患者さんは不安や不信感を抱きます。
症状や施術方針、施術内容、治療期間、費用、望ましい通院回数など、患者さんが求める説明を分かりやすく伝えましょう。
【主に患者さんが求める説明】
- 症状の原因について
- 治せる症状なのか
- なぜ、この施術をするのか
- 治療期間
- 望ましい通院回数
- 見込まれる費用感
特に患者さんは、「治せる症状なのか」「いつまでに治るのか」「通院回数」「費用」を気にしています。
具体的な数字を自信持って言い切ることで、患者さんは安心して来院してくれるようになります。
患者さんの気持ちに寄り添う
患者さんは、不安や悩みを抱えて来院されます。
「体調の悩みをわかってくれるだろうか」と緊張しながら、診療に臨んでいるものです。
まずは、不安を解消し、心許して話せる鍼灸師となることを目指しましょう。
患者さんは、「とにかく、悩みを聞いてほしい」ことを求めています。
患者さんの感情に寄り添うためにも、「お辛いですね」「大変でしたね」と共感することが大切です。
これにより、患者さんは「次回もまた診てほしい」という気持ちになりやすくなります。
快適な空間をつくる
鍼灸院を訪れる患者さんは、心も体もリラックスしたいと思っています。
院内のインテリアは、患者満足度とリピート率に与える効果は大きく、患者さんの体験価値を高めます。
デザインやアロマ、空気清浄機、照明、BGMを見直すことで、院内の雰囲気はずいぶん変わります。
患者さんの期待を裏切らない、快適な空間作りを心がけましょう。
次回予約の提案をする
会計のタイミングで次回予約を促すことも効果的です。あくまで、患者さんの気持ちを第一に促しましょう。
無理に予約を取らせようとすると、嫌われてしまいます。必ず患者さんにゆだねるようにしましょう。
「○週間に1回ほど、メンテナンスすると症状の緩和につながりますよ」など、アドバイスやセルフケアを交えながら、自然に促すことが大切です。
その場で、予約が入れてもらいやすくなるように、受付にカレンダーを置いておきましょう。
定期的なきっかけ作りをする
再度、鍼灸院を訪れてもらう方法として、DMやLINEの活用は効果的です。
割引やキャンペーンがあると、これを機会に「次も行こう」と思ってもらえます。
以下、患者さんにとって嬉しい特典・キャンペーンの例を挙げます。
【患者さんにとって嬉しい特典・引き寄せの種類】
- DM限定クーポン
- 定期メンテナンス割引特典
- お誕生日特典
- 【期間限定】無料のオプション追加サービス
- 施術後のアフターケア特典
- 新メニューのキャンペーン
ただ実施するだけでは、売上が下がるリスクもあるため、「平日限定 特別割引○時~○時」といった、患者さんが少ない時間帯を狙うと、効率的に売上アップにつながります。
リピーター獲得の成功事例
はりとおきゅうすずめ様:来院頻度が「59%」もアップした成功事例
「はりとおきゅうすずめ」様は、1台のベッドで治療をしている鍼灸院です。
来院頻度が59%※という驚異的な実績に至りました。
※患者さんへのアプローチ対策として、アプリ導入前後3カ月を比較した結果
その成功の背景には、丁寧なカウンセリングとアフターフォローとしてのメモを最大限に活用したものがありました。
カウンセリングとメモの重要性
こちらの鍼灸院では、カウンセリングを大切にし、術後にアフターフォローとしてメモを渡すことが特徴でした。
このメモには、「患者さんの気持ちに寄り添うこと」や「次回予約の提案をすること」といった、リピートに役立つことが書かれていました。
セルフケア指導や食事アドバイスが書かれたメモは、患者さんに大変喜ばれていたものでした。
課題と解決策
しかし、紙のメモは紛失されることが多く、術後ケアまで繋がらない患者さんも多かったようです。
そのため、メモによるリピート率改善効果は最大化できていませんでした。
この課題を解決するために導入したのが、患者アプリ(はりのマイカルテ)でした。
アプリによるリピート効果
患者アプリ(はりのマイカルテ)の導入により、来院頻度が59%※アップに成功しました。
※患者さんへのアプローチ対策として、アプリ導入前後3カ月を比較した結果
具体的には、治療後の患者さんへアプリを案内し、アプリで確実に術後ケアができる仕組みを作っていました。
実際に使われた「はりのマイカルテ」では、メモだけでなく、セルフケアや食事ケアなどアプリで共有できるものでした。
結果として、患者さんが紙のメモを失くすことがなくなり、アプリによる術後ケアに大変喜ばれるようになりました。
また、先生はチャット機能を使うことで、自然に次回予約を勧めることができると高く評価しています。
アプリの強みを活かし、効果的なリピート対策ができた良い例といえるでしょう。
まとめ
患者さんがリピートしない理由を知ることは、とても重要なことです。
患者さんが離れてしまう理由は、さまざまですが、「患者さんの目線に立つこと」「定期的なフォローアップ」の2つは欠かせません。
リピート対策を効果的にするためにも、まずは「自院の口コミ分析」から始めてみると良いでしょう。