鍼灸における広告規制とは?NGな広告例や広告のポイントを解説

鍼灸院を広告する際には、広告表現に慎重さが求められます。

しかし、どんな表現がOKで、NGなのか理解するのは難しいことです。

そこでこの記事では、鍼灸の広告規制の基本知識から具体的なNG表現とその例、違反しないための表現のコツをわかりやすく解説します。

目次

鍼灸における広告規制とは?

鍼灸における広告は、『あはき法』(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)によって広告のルールが決められています。

この法律は、患者さんが誤った情報をもとに治療を受けないことを目的に、厳しい制限を設けています。

知らず知らずのうちに違法広告とならないように、OKな広告表記とNGな広告表記を理解しておきましょう。

広告と見なされるもの・広告と見なさないもの

広告規制は「広告と見なされるもの」が対象となり、逆に「広告と見なされないもの」には規制は対象外です。

鍼灸における広告規制は厳しいですが、広告とみなされないものは対象外となるため、ここで広告表記できなかった内容を掲載することができます。※ただし、景品表示法に違反するものを除く

『広告と見なされるかどうか』は、以下の3つの要件をすべて満たした場合に「広告」と判断されます。

広告と見なされる3つの要件
  • 要件①【誘引性】自分の院に患者さんを呼び込む意図があること
  • 要件②【特定性】院名または、施術を提供する人の名前が特定できること
  • 要件③【認知性】誰もがその情報を見たり、認知できる状態であること

参照:あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容

これらの要件を理解し、自分が発信する情報が「広告」に該当するかどうかを判断することが大切です。

広告として分類されるものとそうでないものをしっかり区別し、規制に違反しないよう注意しましょう。

広告と見なされる(広告規制対象)広告と見なされないもの(広告規制対象外)
・看板
・(外に向けた)ポスター
・チラシ
・Googleマップ(利用者からの口コミ除く)
・ネット、SNSでの広告(バナー等)
・新聞、雑誌
・メール
・ホームページ
・学術論文、学術発表等
・新聞、雑誌(集客目的に掲載依頼したものでないもの)
・患者自らが書いた口コミ
・院内のポスター、パンフレット
・患者からの案内要望に応じて始めたメール、LINE

鍼灸におけるOKな広告表現

鍼灸の広告において、以下の項目のみ掲載することができます。

【広告が許されている広告表記】
・業務の種類(はり業・きゅう業)
・施術所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項
・施術者の名前・住所
・施術日・施術時間
・休日・夜間における施術の実施
・出張による施術ができること
・予約制であること
・駐車場があること
・もみりょうじ・やいと・小児鍼の表記

参照:あはき・柔整広告ガイドラインに記載する内容
参照:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律

鍼灸におけるNGな広告表現

広告が許されている広告表記以外のすべての表記は違反としています。

また、あはき師法以外にも景品表示法に違反しないように注意しなければなりません。

根拠もなくサービスを良く見せたり、誇大広告することは景品表示法違反となります。

【NGな具体例】

<あはき法違反>
・(施術料金の記載)施術料○○円~
・「腰痛専門」などの専門性アピール
・ビフォーアフター写真
・「治る」といった医療行為を連想させる表現
・経歴の表記(出身校や治療実績、医師などとの写真)

<景品表示法違反>
・(他より優れた表現)患者満足度No.1
・改善率○○%
・医師が選ぶ○○
・有名人も通っている治療院
・「癌に効く」などの誇張した表現
・○○センター、メディカル○○院など医療と誤認させる表記

あらゆる広告手段が対象となるため、看板やチラシなどでの広告に注意が必要です。

【違反事例】違反した場合の罰則

あはき法の広告違反した場合、「30万円以下の罰金」が科せられます。

景品表示法の場合だと「行政による措置命令」が出されます。

この命令は、主に一般の方や従業員への周知徹底や再発防止策が求められます。

万が一、措置命令に従わない場合、最悪の場合には刑事罰を受ける可能性もあります。

違反が発覚すると、行政により公表されるケースもあるため注意が必要です。

【景品表示法違反:某大手グループ院】

150店舗以上展開していた某グループ院では、「全国の患者様から選ばれてNo.1」「医師が選ぶ○○」といった表示を使っていましたが、これらの表示に十分な根拠がないとして問題視されました。

また、食事指導など必要とせず脂肪を減らして、体を引き締められるとして「瘦せられるメニュー」と謳っていたものの、合理的な根拠がなかったとして景品表示法違反とされました。

行政(県)は、顧客に対して不当に良いものと誤認させたして、一般消費者・従業員への周知徹底と再発防止策を求める措置命令を下しました。

広告規制に違反せず、効果的に集客を行うコツ

広告規制が厳しいなかで、集客力のある広告を出すのは、難しいことです。

ここでは、広告規制に抵触しない集客のコツを解説します。

写真を使ってアピールする

施術所やスタッフの写真を使うこと自体禁止されていません。

「院内の空間」や「明るいスタッフ」などの写真を活用することで、患者さんに安心感を与えることができます。

特に写真はイメージが伝わるので、集客につながりやすくなります。

ただし、使用する写真が禁止された表現に該当する場合、問題になる可能性があるため、行きすぎた表現には注意しましょう。

公式ホームページへ誘導する

ホームページは、”広告とみなされません”。

つまり、広告規制の対象外であり、「割引キャンペーン」「経歴や実績」「施術内容」「特定の治療法」「効果」など、比較的自由に掲載できます。

ホームページが集客の決め手となるため、チラシやSNS、Googleマップなどの広告にホームページのURLやQRコードを必ず載せましょう。

あくまで広告では院名の認知を優先し、その後、院名検索でホームページにアクセスしてもらう仕組みがポイントです。

口コミを書いてもらう

患者さんが自発的に投稿した口コミは、広告とみなされず、広告規制の対象外です。

そのため、口コミを通じて、広告で伝えにくいことを患者さんの声として発信することができます。

例えば、「施術の感想」や「術後の変化」「料金」など、広告では制限されがちな内容も、患者さんの口コミとしてアピールできます。

ただし、無料モニターや特典を見返りにした「やらせ口コミ」は景品表示法違反であるため、注意が必要です。

ポータルサイトに掲載する

ポータルサイトを活用すれば、自院の広告ではできない情報を掲載することができます。

ポータルサイトは、予約しやすさを目的に料金や施術の内容、サービスの特徴など掲載できる設計となっています。

基本的にポータルサイトはSEOが強いため、多くのユーザーが利用しやすく、高い広告効果が期待できます。

ただし、ポータルサイトは広告とみなされるため、過度な表現など掲載する情報には注意が必要です。

まとめ

鍼灸における広告規制は非常に厳しいため、広告とみなされる看板やチラシだけでは十分な集客は難しいです。

これらの広告は、まずは院の存在を知ってもらうための第一歩と考えましょう。

看板やチラシで院の存在を伝えたら、次は規制の対象外となるホームページなどで詳しく情報を提供する工夫が必要です。

また、たとえ広告とみなされない方法でも、景品表示法の規制があるため、違反しないように注意が必要です。

無意識に違反しないよう、適切な方法で集客するように心がけましょう。

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